1998 Fiscal Year Annual Research Report
癌化におけるテネイシンCとテネイシンXのクロストークの機構
Project/Area Number |
10152258
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 健一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30202328)
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Keywords | 細胞外マトリックス / テネイシンファミリー / two-hybrid / VEGF |
Research Abstract |
癌化における細胞外マトリックス・テネイシンX(TNX)とテネイシンC(TNC)のクロストークの機構を調べるために、TNXやTNCと相互作用する分子の探索を行った。 1. マウスTNXに特異性の高い配列であるフィブロネクチン・タイプIII(FNIII)配列をbaitとして、酵母two-hybridの系を用いHeLa細胞由来CDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、TNXのFNIII領域に結合する因子として血管内皮増殖因子(VEGF)のメンバーの一つであるVEGF-B186を同定した。その他、細胞膜レセプタータンパク質であるNa,K-ATPase beta-3 subunitを同定した。 2. 一方マウスTNCに特異性の高い配列であるFNIII配列をbaitとして、同様のスクリーニングを行ったところ、TNCのFNIII領域に結合する分子としてbeta-2 microglobulinや精巣上体分泌タンパク質を同定した。 3. これらのTNXやTNCと結合する分子の中で、特に癌悪性度などの関係で興味深いVEGF-B186とTNXとの相互作用についてさらに検討を行った。VEGF-B186のTNX・FNIIIとの結合には、VEGF-Bの二つのアイソフォーム(VEGF-B186とVEGF-B167)に共通の配列であるN末端から137aaが必要であることが明らかとなった。またTNXの、VEGF-B186との結合に必要な配列の決定を行ったところ、VEGF-B186に結合するのはbaitに用いたFNIII配列のところのみで、TNXの他の領域たとえばヘプタッド・リピート領域、フィブリノーゲン様領域にはVEGF-Bは結合しないことが明らかとなった。 4. まだ現在のところ酵母two-hybridの系での確認のみであるが、VEGF-BはTNXのFNIII配列のみならずTNCのFNIII配列とも結合することが明らかとなった。
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