1998 Fiscal Year Annual Research Report
制癌の標的分子としての糖脂質糖鎖遺伝子(ガングリオシドGM3合成酵素遺伝子)
Project/Area Number |
10153204
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
齋藤 政樹 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 部長 (60012762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和洋 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (80251502)
石井 睦 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (20232225)
濱中 裕一郎 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (40189618)
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Keywords | ガングリオシドGM3合成酵素 / シアル酸転移酵素-1 / cDNAクローニング / マウスホモローグcDNA / II型膜蛋白質 / シアリルモチーフ / 特異的アミノ酸置換 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度は、以下の諸点を明らかにした:(1)世界に先駆けcDNAクローニングに成功したヒトGM3ガングリオシド合成酵素(シアル酸転移酵素-1)遺伝子及びその発現蛋白について、構造・機能解析を行った。ヒト酵素cDNAクローンは全長2,359塩基対からなり、1,089塩基対のORFを含む。推定アミノ酸一次構造には、短い細胞質部位、膜貫通部位、長いC末端部位が存在し、II型膜蛋白質の構造的特性を示した。推定分子量は41.7kDa、ゴルジ体内腔領域には、シアル酸転移酵素ファミリーで共通に見られる2つ(LとS)のシアリルモチーフ配列が同定された。シアリルモチーフLでは、保存性の高いアミノ酸残基の一つでC末端付近に位置するアスパラギン酸がヒスチジンに置換していた。α2-3又はα2-6結合でシアル酸を転移する酵素群とアミノ酸一次配列で27.1-41.2%の相同性を示したが、α2-8結合でシアル酸を転移する酵素及び末端N-アセチルガラクトサミンを受容体とするものとは有意な相同性は認められなかった。(2)マウスホモローグcDNAの全長は2,121塩基対で、1.080塩基対のORFを含み、ヒト由来のものと核酸レベルで72.4%(コード領域では84.8%)、アミノ酸レベルで85.5%の相同性を示した。シアリルモチーフL中に特異的Asp→His置換が認められた。さらに、ラット並びにサルcDNAライブラリーからの単離ホモローグにも同様のアミノ酸置換が確認され、哺乳類でこのアミノ酸置換の重要な意味が内包されていることが示唆された。(3)cDNA産物はGM3合成酵素活性を示した。ヒト及びマウス酵素ともにラクトシルセラミドのみを糖脂質基質(受容体)とし、極めて厳しい基質特異性を持っていた。cDNAクローン導入3LL-ST28細胞を酵素源とすると、僅かではあるがTLC上ガングリオシドGT3と同定される糖脂質分子の合成を観察した。(4)ヒト及びマウス遺伝子ともに、2.4kbの主要な遺伝子転写物mRNAを与えた。また、全ての臓器に当該遺伝子の発現が認められたが、発現パターンには、かなりの種特異性、臓器特異性が観察された。ヒトでは脳・胎盤・骨格筋・精巣で、またマウスでは肝臓で高い発現量を示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohta,M.,Saito.M.,et al.: "Suppression of Hematopoietic Activity in Tenascin-C-Deficient Mice." Blood.91. 4074-4083 (1998)
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[Publications] Ishii,A.,Saito,M.,et al.: "Expression Cloning and Functional Characterization of Human a cDNA for Ganglioside GM3 Synthase." J.Biol.Chem.273. 31652-31655 (1998)
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[Publications] Ishii,A.,Saito,M.,et al.: "Molecular characterization of ganglioside GM3 Synthase (CMP-NeuAc: Ga1β1-4G1cβ1-1'Cer α2,3-sialytransferase)from mammalians." J.Biol.Chem.(in press). (1999)
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[Publications] Matsuda,K.,Saito,M.,et al.: "HIV Induction from Latently Infected Cells by Phosphoglycolipid Antigens of Mycoplasma fermentans." Infect.Immun.,. (in press). (1999)
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[Publications] Mei Xu,Saito,M.,et al.: "A Severe Clinical Phenotype of Maroteaux-Lamy Syndrome Caused by A Nohsense Point Mutation in Arylsulfatase B Gene." Human Genet.(in press). (1999)
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[Publications] 斎藤政樹: "糖鎖生物学(蛋白質核酸酵素,43巻,増刊号)" 共立出版株式会社, 250 (1998)
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[Publications] 畠 清彦,齋藤政樹: "白血病の分化誘導療法,造血幹細胞-分子から臨床まで-" 南江堂(三浦恭定編), 300 (1998)