1998 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白質を標的としたがん細胞の温熱耐性克服
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10153274
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
大塚 健三 愛知県がんセンター, 放射線部, 室長 (40150213)
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Keywords | 熱ショック蛋白質 / 温熱耐性 / Hsp70 / Hsp40 / HSDJ / DnaJ / Tet on gene expression |
Research Abstract |
われわれが先に見い出したHsp40はバクテリアのDnaJの相同体である。細胞内ではHsp40はHsp70と挙動を共にしており、細胞内のHsp40およびHsp70の量は温熱耐性の程度とよく相関する。またHsp40とHsp70は変性蛋白質の凝集を防ぎ、ATPのエネルギーを使って元どうりに折りたたむよう機能していること、さらに細胞内においてもHsp40とHsp70は共同して熱によって変性した蛋白質の活性を回復するよう働いていることなどを報告してきた。 熱ショック蛋白質(Hsp)の温熱耐性における役割を直接的に証明するためには、特定のHSpを条件的に高発現または発現抑制させる実験系が有効である。その1つにTet-on遺伝子発現系がある。まずHeLa細胞にpTet-onプラスミドを導入した。得られたTet-on HeLa細胞に、哺乳動物のDnaJ(Hsp40)相同体のうちのHSDJとHsp40のcDNAをpTREヴェクタ-に組み込んだプラスミドを導入して、doxycycline添加でHSDJおよびHsp40を高発現する細胞株を得た。HSDJとHsp40のそれぞれの発現はdoxycycline濃度依存的であり、約3倍の誘導がみられた。この条件下での細胞の温熱感受性について検討したところ、HSDJとHsp40のいずれを高発現しても温熱感受性には影響がなく、また、温熱耐性の発現も対照の細胞と比べて差はなかった。このことは、Hsp40やHSDJなとのDnaJ相同体単独では温熱感受性を変化させることはないことを示している。ただ、Hsp40を高発現した細胞に熱ショックを与えると、Hsp70やHSDJの誘導が抑制される。一方、HSDJを高発現する細胞ではこのような現象は認められなかった。このようなことから、Hsp40は細胞の熱ショック応答を負に制御していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hata and Ohtsuka: "Characterization of HSE sequences in human Hsp40 gene : structural and promoter analysis" Biochim Biophys Acta. 1397. 43-55 (1988)
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[Publications] Suzuki et al: "Presence of molecular chaperones,heat shock cognate(Hsc)70 and heat shock proteins(Hsp)40,in the postsynaptic structure" Brain Res. 816. 99-110 (1999)
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[Publications] Mori et al: "Mammalian Hsp70 and Hsp40 : characteristic induction by environmental stresses and tissue specific expression" Jpn.J.Hyperthermic Oncol.(印刷中). (1999)
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[Publications] Ohtsuka and Hata: "Proposal for the classification and nomenclature of mammalian Hsp40/DNAJ homologs" Cell Stress & Chaperones. (印刷中). (1999)
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[Publications] 大塚健三: "ストレス応答と老化・寿命" 放射線科学. 41. 199-203 (1998)
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[Publications] 大塚健三: "分子シャペロンによる遺伝子病治療の可能性" 蛋白質・核酸・酵素. 43. 1998-1999 (1998)