1998 Fiscal Year Annual Research Report
カラコールアミンシグナル伝達系の脳高次機能および神経可塑性における役割の解析
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10155220
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 和人 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助教授 (90211903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 夏樹 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (40271556)
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Keywords | ドーパミン / ノルアドレナリン / チロシン水酸化酵素 / 運動 / 情動学習 / 長期記憶 |
Research Abstract |
ドーパミン神経伝達の生後発育期における役割ーーートランスジェニックレスキュー法を利用し、カテコールアミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の発現をドーバミンニューロンでのみ欠損する遺伝子変異マウスを作製したドーパミン欠損マウスは、生後2週ほどまでは正常に発育するが、その後、3週にかけて、成長の遅滞が観察された。同じ時期の変異マウスは、自発運動量の著明な減少、カタレプシー、アンフェタミンによる運動促進作用の欠如を示し、さらに、音刺激による条件回避試験の障害を伴った。一方で、下垂体の発生およびペプチドホルモン(プロラクチン、a-色素胞刺激ホルモン)の合成や分泌には、特に顕著な異常は観察されず、ドーパミンの欠損に対して、視床下部-下垂体系ドーパミンニューロンの機能を調節する補償機構の存在が示唆された。以上の結果から、ドーパミンは、動物の生後発育期において、中脳から線条体あるいは皮質に投射する神経回路に依存する運動と情動のコントロールに不可欠な役割を持つことが明らかになった。 ノルアドレナリン神経伝達の大脳辺縁系における役割ーーーTH遺伝子変異に関するヘテロマウスは、TH活性の低下に基づくノルアドレナリン合成および分泌の著明な減少を示した。TH変異へテロマウスは、水探索行動試験において、注意あるいは覚醒に関係する潜在学習の能力の低下を示し、また、音刺激による条件回避試験を用いた情動学習についても著明な障害を示した。情動学習についてさらに検討した結果、扁桃体の機能を必要とすると考えられる音刺激依存性の恐怖条件づけおよび味覚嫌悪条件づけの行動課題において、長期記憶のレベルでの障害が見い出された。これらの障害は、ノルアドレナリン再吸収の阻害剤desipramineの投与によるノルアドレナリンニューロンの活性化により回復した。一方で、水迷路による空間認識および海馬の電気生理応答には変化は認められなかった。以上の結果から、ノルアドレナリン神経伝達は、潜在および情動学習に必須の役割を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sawada et al.: "Autonomic neuropathy in transgenic mice caused by immunotoxin targeting of the peripheral nervous system" J.Neurosci.Res.51,2. 162-173 (1998)
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[Publications] Nishii et al.: "Motor and learning dysfunction during postnatal development in mice defective in dopamine neuronal transmission" J.Neurosci.Res.54,4. 450-464 (1998)
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[Publications] Watanabe et al.: "Ablation of cerebellar Golgi cells disrupts synaptic integration involving GABA inhibition and NMDA receptor activation in motor coordination" Cell. 95,1. 17-27 (1998)
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[Publications] Kobayashi et al.: "Mutant mice lacking the tyrosine hydroxylase gene and transcomplementation with the human genome: Ongoing prospects for human gene therapy" Biogenic Amines, Special Issue of Gene Therapy. 14(in press). (1999)