1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10156240
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
青崎 敏彦 理化学研究所, 運動回路網研究チーム, フロンティア研究員 (70221033)
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Keywords | 線条体 / ストリオソーム / トランスジェニックマウス / 可塑性 / GFP / コンパートメント / 大脳基底核 / ドーパミン |
Research Abstract |
線条体はストリオソームとマトリックスのふたつのコンパートメントからなるが、本研究の目的はこの線条体ストリオソームの機能を明らかにすることであった。方法としては申請時点ではD2ドーパミン受容体ノックアウトマウスを用い、300μのスライスを作製して、マウス線条体の免疫組織染色により、ストリオソームの位置をマップし、スラ,イス標本上のどこに高い確率でストリオソームが現れるかをあらかじめ調べておいて、生理実験を行う予定であった。しかし、ストリオソームの細胞からの記録の収率の悪さから、一転して、ストリオソームがμオピオイド受容体を選択的に発現していることを利用して、この受容体遺伝子のプロモーター部位にgreen fluorescence protein(GFP)を挿入したトランスジェニックマウス作製して、効率良く記録を行えるようにすることにした。このマウスができればスライスを作製して、蛍光顕微鏡で観察するとストリオソームが光って見えるので、苦労せずにストリオソームからの記録が可能となる。そこで、1998年4月から3ヶ月かけてまずμオピオイド受容体プロモーター遺伝子をマウスの全脳からPCRによってクPーニングした。次に、GFPを含むpEGFPをこれにつないでヴェクターを作製した。これを熊本大学医学部遺伝子施設に送ったのが、7月であった。41匹Flのマウスが11月に送られてきて、遺伝子型をスクリーニングしたところ、8匹のFlのマウスにpEGFPが含まれていることがわかった。現在はメイティングを行って、F2のマウスを作成中である。今後は、8系統あるマウスのどれが我々の実験の目的にもっとも適切であるかを決めるために、脳切片を作製し、蛍光顕微鏡下に脳が光るものを選別して、μオピオイド受容体に対する抗体で免疫組織染色をする予定である。これによって、それぞれの系統のマウスを維持繁殖させ、本研究の当初の目的であるストリオソームの生理的働きについて調べる予定である。
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[Publications] 青崎敏彦: "線条体アセチルコリンと運動制御" Brain Medical. (印刷中). (1999)
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[Publications] Aosaki et al.: "Dopamine Dl-like receptor activation excites rat striatal large aspiny neurons in vitro" Journal of Neuroscience. 18. 5180-5190 (1998)
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[Publications] Aosaki and Kawaguchi: "Dopamine excites rat neostriatal large aspiny neurons in vitro" Society for Neuroscience Abstracts. 22 (1998)