1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成におけるRhoファミリーGTPaseカスケードの役割
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10156243
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
浜 千尋 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子工学, 室長 (50238052)
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Keywords | グアニンヌクレオチド交換因子 / Rho / GEF / ショウジョウバエ / 神経 / 軸索 / シナプス / diro |
Research Abstract |
われわれは今までにシナプスに局在するグアニングクレオチド交換因子(GEF)であるSIFタンパク質を解析して来たが、神経系の発生過程における異なる局面で機能する新たなGEFを同定し解析することを本年度の目的とした。既に同定されている複数のGEFの配列をもとにしてショウジョウバエのデータベースから候補分子を選択し、その中から胚の神経系で発現する分子をコードする遺伝子drioを同定することができた。DRIOタンパク質には、GEF活性を示す機能ドメインであるDHドメインと、そのC端に引き続き存在するPHドメインのセットが2つ存在するほか、SH3ドメインおよびN端側半分の領域にはスペクトリンリピートが存在する。このタンパク質に対する抗体をウサギで作り、胚を染色すると、表皮が染まるほか、神経系の軸索が染まった。また、成虫脳の切片を染色すると、学習を制御するキノコ体と視葉中のラミナの細胞体および軸索が強く染まった。このdrio遺伝子の機能を明らかにするため、化学変異誘起剤であるEMSを使って突然変異株の分離を試みたところ、多数の致死変異株を分離することに成功している。現在、これらの変異体における表現型を特に軸索の伸長パターンならびに成長円錐の挙動に注目して解析している。 DRIOタンパク質の局在は、SIFがシナプスに特異的に局在するのに対し、軸索に多く存在し、またシナプスを作る神経叢にも見られる。このことは、DRIOがシナプスにおいてSIFと機能的重複をしている可能性を示すと共に、SIFとは違った部位で異なる発生上の役割を持つことを示唆している。今後は、さらにdrioの機能を明らかにする一方で、SIFと関連させて発生のどの局面でどのような調節を受けてRhoファミリーGTPaseを活性化しているのか明らかにしていく必要がある。
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Research Products
(1 results)