1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10157208
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤原 敏道 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (20242381)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 秀雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60029965)
|
Keywords | リゾチーム / タンパク質の安定性 / 変性状態 / 塩酸グアニジン / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
タンパク質の構造安定性を物理化学的に理解するためには、天然構造とともに変性構造を知る必要がある。対象とするリゾチームはもっともよく研究されているタンパク質のひとつであり、フォールデリングのメカニズムや安定性の研究が広く行われている。これまでの研究から卵白リゾチームは、同じ変性状態でも温度変性と塩酸グアニジン変性では二次構造が異なり、また塩酸グアニジン存在下で完全なランダムコイルにはならないことが示唆されていた。そこで本研究では6M塩酸グアニジン変性条件で、卵白リゾチーム分子の構造をNMRを用いて検討した。 タンパク質主鎖のHD交換実験では、一定時間だけ重水素化した6Mグアニジン塩酸で変性させた。この後、急速に大量の重水を加えて塩酸グアニジンを透析で除き、シグナル分離がよくなる天然状態にして2次元スペクトルを測定した。NHの交換速度の遅い部位は、βシートのC末端側、Helix Cにあった。プロテクションファクターは、尿素、温度、酸変性より数倍大きい値になった。特にCDスペクトルが似ている尿素変性状態に比べると数倍近く大きいものが有った。塩酸グアニジン変性状態では完全にランダムではなく、水分子が近づきにくいような構造を取っていると考えられた。 また、化学シフトに基づいてさらに詳しく変性構造を調べるために6M塩酸グアニジン中で2次元NMRスペクトルを測定し、信号の帰属を行った。この実験スペクトルを、変性状態での化学シフトを参考にシュミレーションしたスペクトルと比較した。その結果、天然状態ほど化学シフトの分散は大きくないが、完全変性状態の化学シフトから有意にずれているシグナルがあり、何らかの構造が残っていることが示された。 これらのことから、塩酸グアニジン中では完全変性構造に近いものの、残基番号50、60、65、90付近では構造が残っており、尿素変性構造とは部分的に異なることがわかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Suhk Mann Kim: "The Interactions of Ferric and Ferrous Cytochrome c with Cardiolipin in Phospholipid Membranes Studied by Solid-State ^2H and ^<31>P NMR" Journal of Molecular Structure. 441. 183-188 (1998)
-
[Publications] Tomoaki Ohmura: "Paramagnetic Inversion of the Sign of the Interference Contribution to the Transverse Relaxation of the Imido Protons of the Coordinated Imidazoles in the Uniformly ^<15>N Labeled Cytochrome c_3" Journal of Magnetic Resonance. 131. 367-372 (1998)
-
[Publications] Toshimichi Fujiwara: "Multidimensional Solid-State Nuclear Magnetic Resonance for Determining the Dihedral Angle from the Correlation of ^<13>C-^1H and ^<13>C-^<13>C Dipolar Interactions under Magic-Angle Spinning Conditions" Journal of Chemical Physics. 109. 2380-2398 (1998)