1998 Fiscal Year Annual Research Report
核とミトコンドリア遺伝子のクロストークによる雌雄性分化の分子的解析
Project/Area Number |
10158208
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荻原 保成 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教授 (40185533)
|
Keywords | 核細胞質雑種 / コムギ / 日長感応性細胞質雄性不稔 / ミトコンドリア遺伝子発現調節 / 組み換え / プロセッシング / mRNA / 26srRNA |
Research Abstract |
コムギの近縁野生種Aegilops crassaの細胞質(D^2)をもつパンコムギ農林26号[(cr)-N26]は短日条件下では可稔であるが、長日条件下では不稔となる日長感応性細胞質雄性不稔(PCMS)を示す。crassa細胞質(CR)に関する種々の組み合せの核-細胞質雑種コムギの実生におけるミトコンドリア(mt)遺伝子の転写パターンを解析してみると、核置換系統のorf25遺伝子の転写パターンが両親型(パンコムギ、Ae.crassa)のものと異なっていた。これは、(1)CRのorf25のリーダー配列がrps7のそれに置換されており、リーダー配列内に新奇なorf48が存在している、(2)パンコムギの転写産物の5'末はプロモーター付近、翻訳開始コドンの上流172bに存在した。(3)核置換系統{(cr)-N26,(cr)-CS,(cr)-N61,FR-mut}の5'末はプロモーター付近、36lbにメジャーな転写産物として位置付けられたが、Ae.crassaのそれはプロモーターから転写された転写産物が26S rRNAプロセッシング酵素によりプロセスされ、短くなった(-103b)たものであることによる。そこで、異なる日長条件、器官、組織におけるorf25,orf48の転写パターンを解析した。PCMS系統である(cr)-N26を長日条件、短日条件で育成し、3-5mm長の幼穂、出穂日の雄蕊、雌蕊、雌蕊化した雄蕊からTotal RNAを抽出した。これらのTotal RNAを用いてorf25,orf48遺伝子特異的なプローブを作製し、ノーザンブロット解析を行った。PCMSの表現型が表れる(cr)-N26の長日条件の幼穂においてのみ、他の系統、組織とは異なるorf25遺伝子の新しい転写パターン(0.9kb+1.1kb)が検出された。他の日長条件・組織では実生と同じ1.1kbの転写物が見出された。これは、日長条件により特定の組織でミトコンドリア遺伝子の転写パターンが変化する実例で興味深い。さらに、これらのRNAを用いてディファレンシャルディスプレイを行った。PCMS系統特異的な幼穂で発現するクローンが20えられた。これらの特徴付けを行い、PCMS原因遺伝子をクローニングしたい。
|
-
[Publications] Ogihara,Y.et al.: "Alloplasmic wheats with Asyilops crassa cytoplasm which express photo-period sensitive homonisotic transformation of amthers,show alterations in" Molewlar and General Geuetics. 255. 45-53 (1997)
-
[Publications] Murai,K,R.Muraid Y.Ogihara: "Wheat MADS box geves,a multi geve family dispersed through and the genome" Genes and Genetic Systems. 72. 317-321 (1997)
-
[Publications] Ogihara,Y.Y.Aizawa,N.Kawa Kami, K Murai: "Cloning of cDNAs specifically expressed in wheat spikeleis of the lheadiy stage,as identified by the simple differential dirply method" Plant Science. 135. 49-62 (1998)
-
[Publications] 荻原保成: "コムギの染色体構造とイネ科植物のシンテニー" 生研時報. 43. 81-90 (1997)