1998 Fiscal Year Annual Research Report
イネ初期胚発生におけるホメオボックス遺伝子の機能と相互関係
Project/Area Number |
10158210
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊藤 幸博 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (70280576)
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Keywords | イネ / 胚発生 / ホメオボックス遺伝子 |
Research Abstract |
植物は、受精卵からだけでなく分化した細胞からも脱分化を経て完全な個体を形成するが、その遺伝的制御機構は分子レベルではほとんど明らかにされていない。本研究の目的は、ホメオボックス遺伝子の解析を通じて、イネの初期胚発生を制御する遺伝的ネットワークを明らかにすることである。 イネ初期胚で発現するホメオボックス遺伝子OSH1をイネで過剰発現させたところ、カルスからの正常な再分化が見られず未分化なまま増殖を続けた。in situハイブリダイゼーションおよびGFPをレポーターとしてOSH1の再分化過程での発現パターンを調べたところ、カルスの再分化とOSH1の発現がよく一致していた。また胚発生過程ではシュートメリステムで特異的に発現している。シュートメリステムの機能をそれ自身の維持と器官形成に分けると、OSH1はシュートメリステムの維持で何らかの機能をしていると考えられた。また、OSH1の過剰発現は他のホメオボックス遺伝子HOS3、HOS16の発現を誘導した。胚発生過程でも同様な発現調節が行われているのかもしれない。また、OSH1のアンチセンスを導入したところ葉の形態に異常が見られた。その葉でのOSH1の発現を調べたところセンス鎖の発現が見られた。またOSH1プロモーター-GUSキメラ遺伝子を導入するとシュートメリステムと葉でGUS活性が見られた。以上の結果は、OSH1はプロモーター領域とコード領域が絡んだ複雑な発現制御を受けていることを示唆している。イネの正常な発生にはOSH1の適切な発現が必要であり、その制御機構の解析は重要な課題である。
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