1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10159201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
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Keywords | X染色体 / 不活性化 / 転座 / 発生 / 遺伝子量補正 |
Research Abstract |
研究目的:X染色体不活性化現象に関与する要因をXist遺伝子を中心に解析する。 研究成果: (1)T16H X/常染色休転座を持つ成熟雌では正常X染色体が不活性化する。原因は、転座染色体が不活性化しにくい上に転座X染色体は選ばれても不活性化されない可能性がある。そこで、Pgk-1アレルの発現とXistの発現をRNA FISHによって検討した。ヘテロ接合胚では、Pgk-1 mRNAは転座X上のアレルからの発現が、正常X上のアレルからの寄与を上回り6:1であった。一方、6.5日雌胚の胚体部では約95%の細胞にXist mRNAによるペイントシグナルが認められ、転座ヘテロ接合胚ではが80〜90%であり上の可能性は高い。不活性化が起きなかった細胞は、速やかに排除されると考えれる。T16HではX染色体はXistより約5CM動原体側で切断され、16番染色体と融合している。不活性化すべき染色体を選ぶ機能と不活性状態を確立する不活性化センターの重要な機能が転座によって影響を受けたと考えられる。 (2)X染色体は原則としてランダムに不活性化するが、胚体外部では父性X染色体が選択的に不活性化する。これを可能にするインプリントの性質やゲノム上の位置の究明は、X染色体不活性化の機構の理解に重要である。そこで、受精卵の前核移植によって雄核発生胚を作成し検討した。従来、XX型の雛核発生胚は不活性化異常のため、着床直後に発生を停止するとされてきた。しかし、実際にはXYのみならずXX雑核発生胚も8日目には生存しており、特にXX胚では全体にランダムなX染色体の不活性が起きていた。不活性化機構の明確なイメージを描くのは未だ難しい。しかし、複数の遺伝子が協調して目的を達成していると考えられる。従って、Xist遺伝子はかりでなく、nonrandomな不活性化に関与するインプリントやT16H転座からの検討にも意義がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 後藤友二: "Tetraploid embryos rescue embryonic lethality caused by on additional maternally inherited X chromasome in the mouse." Development. 125. 3353-3363 (1998)
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[Publications] 多田 高: "Epigenetic switching of imprintable loci in embryonicgerm cells" Development,genes and Evolution. 207. 551-561 (1998)
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[Publications] 小倉弘子: "Translocation breakpoint possibly predisposes to X chromosome inactivation nonrandom in mouse embryos bearing Searle's T(Xi16)16H." Cytogenetics and Cell Genetics. 80. 173-178 (1998)