1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10163236
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐々木 實 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10080003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 康彦 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50254280)
国松 己歳 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70145746)
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Keywords | NF-κBの活性化 / NF-κB / IκB / IκB切断部位 / GST-IκB / カルパイン / カルパインインヒビターI / Lactacystin |
Research Abstract |
転写因子NF-_KBの活性化は、これと結合する抑制因子I_KBが燐酸化、ユビキチン化を経てプロテアソームによる分解によって起こることが報告されている。我々はこの他にもカルパインがNF-_KB・I_KB複合体の抑制因子I_KBを優先的に分解して活性化NF-_KBを生じることをin vitroの系で証明した。平成10年度はこれ等の結果をもとにin vitroの系でI_KBの切断部位の決定と培養細胞によるin vivoの系でのNF-_KB活性化の検索を試みた。 1. カルパインによるI_KBの切断部位:I_KBの切断部位を検索するためにGST-I_KBをカルパイン処理し、SDS電気泳動-銀染色、及びWestern blottingにより切断フラグメントの検索を行った。その結果GST-I_KBの60kDaのバンドは急速に消失し、それに換わって32kDaと28kDaのバンドが出現した。32kDaははじめから非常に薄く10分以内に消失したが、26kDaのバンドは十分な濃度で長時間のdigestionによっても消失しなかった。I_KBのN末端抗体、C末端抗体及び抗GST抗体により、32kDaのバンドはI_KBがN末端近傍で切断して生ずるそれよりC端側のフラグメントで、26kDaのバンドはI_KBのN末端フラグメントとGSTの結合フラグメントであることが同定された。これより第1の切断部位はN端側にあることが認められたが、同時に32kDaのフラグメントが急速に消失するのはC端側フラグメントにも切断部位が存在することが示唆された。N端とC端のそれぞれ約30残基からなる合成ペプチドによる実験からN端側ではW12とA13、C端側ではR310とL311の間で切断されることが推定された。 2. 培養細胞によるin vivoの実験:マクロファージ系株化細胞THP-1にHIV-1がlatentにinfectionされているOM10.1細胞は刺激によりNF-_KBを介してHIV-1がexpressionされることが知られている。この細胞にPKMA/Ca^<++>イオノフォア刺激を行いHIV-1のp24抗原を検出する方法でNF-_KBの活性化を測定した。p24の産生は経時的に増加したが、カルパインインヒビターIの添加によりdose-dependentに抑制された。しかしプロテアソームインヒビターであるLactacystinでは顕著な抑制はみられなかった。 以上の結果から細胞内カルシウムの上昇が誘導される系ではカルパインの活性化によるNF_<-K>Bの活性化が起こりうる可能性が示された。
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