1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10164250
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
渡辺 正孝 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 副参事研究員 (50092383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 崇 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (30225429)
彦坂 和雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (60129004)
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Keywords | 前頭連合野 / 背外側部 / 前頭眼窩野 / ニューロン活動 / 報酬 / 予測 / 期待 / サル |
Research Abstract |
人でもなにか好ましいことが起こることを「期待」するように、サルもこれからおいしい食べ物が貰える、という場合にはそれを「期待」することが知られている。また、エサが貰えることが期待できない場合には、「報酬がないことを予期する」という過程があることも明らかになっている。ニューロン活動のレベルでも、「特定の報酬の期待」、あるいは「特定の報酬がないことの予期」に関係した活動を示すニューロンが前頭連合野の背外側部と呼ばれる部位に存在することが示されている。 前頭眼窩野は前頭連合野の腹側部に広がる領野であり、種々の感覚情報と、扁桃核、視床下部などからの動機づけ情報を統合することにより刺激-報酬間の連合や情動に関係していると考えられている。そこで、報酬により関係が深いと考えられる前頭眼窩野においても、「報酬期待」に関係したニューロン活動は見られるのか、また報酬関連活動に背外側部のものと違いが見られるか、という点を明らかにする研究に取り組んだ。 その結果、サルの前頭眼窩野には「特定の報酬の予測に関係するニューロン」、「報酬と無報酬の違いの予測に関係するニューロン」、「好む報酬と好まない報酬の違いの予測に関係するニューロン」、という3つのタイプのニューロンが見出された。 前頭眼窩野ニューロンの報酬予測関連活動は、背外側部のものに比べて動物の報酬に対するモチベーションに強く依存していることが明らかになり、「特定の報酬」というよりは「特定の報酬価」を予測する機能に関係していることが示唆された。こうした性質は、動物がその行動により次にどのような結果が得られるのかを予測・期待する機能に関係しており、前頭眼窩野は動物の目標志向行動に重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Watanabe: "Cognitive and motivational sperations in primate prefrastal Neurons" Reviews in the Neurosciences. 10・4 (印刷中). (1998)
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[Publications] 渡辺正孝: "思考のシステム 岩波講座「現代医学の基礎」第7巻脳神経の科学II (印刷中)" 岩波書店, (1999)