1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい溶血法を用いたマラリア原虫検出システムの開発と寄生機構解明への応用
Project/Area Number |
10166213
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斎藤 あつ子 神戸大学, 医学部, 助教授 (00223131)
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Keywords | マラリア / Plasmodium / フローサイトメーター / 診断 / 溶血 / 蛍光染色 |
Research Abstract |
本研究は、赤血球を溶血させマラリア原虫を赤血球から遊離し、網状赤血球の影響を取り除き、flowcytometryで通常のDNA,RNA蛍光染色剤によりマラリア原虫を検出するシステムを確立し、研究面及び診断面での本システムの有効性を評価することを目的とした研究である。これまでに以下のような成果を得た。 1、培養マラリア原虫を用い、原虫のflow cytometry上の描出区画を決定し、検出限界を求めた。parasitemia0.001-0.005%の感度が得られ、parasitemia0.01%以上で、本法による原虫測定数とparasitemiaとの間に安定した正の相関が得られた。 2、同調培養した原虫を調整し顕微鏡的観察の結果と比較することにより、flow cytometry上のステージ別マラリア原虫の描出区画を決定した。 3、既存の抗マラリア薬の効果の判定を本システムを用いて行い、従来法(塗抹標本による顕微鏡的観察や[3H]Hypoxanthineの取り込による薬剤効果の判定法)の結果とほぼ同様の結果を得ることができた。 4、本システムのマラリア診断への応用の可能性について、7例の患者血液(P.falciparum;4例、P.vivax:3例)の解析を行ない、P.falciparum感染患者について良好な結果を得た。P.vivax患者については描出区画の再検討などの課題を残した。5、本溶血剤の、赤血球膜、マラリア原虫への影響を形態学的に検討した。広く用いられるサポニン溶血に比し、均一で安定した溶血効果が得られたが、電子顕微鏡観察でマラリア原虫細胞質densityの低下を認めた。従って、本溶血剤はサポニンよりマラリア原虫膜への障害はむしろ強い可能性があることが推定された。
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