1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜および核に局在するタンパクのcDNA単離法の確立
Project/Area Number |
10168225
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
市原 慶和 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (80176304)
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Keywords | ベクター / 膜結合性タンパク / 核タンパク / cDNA |
Research Abstract |
申請者はこれまでに膜タンパクのcDNAを網羅的にクローニングするための方法(Trans Membrane Domain Trapping method:TMDT法)を考案し、これに用いるためのTMDTベクターを作製した。本ベクターは分泌型IL2-レセプターとの融合タンパクをCOS細胞で発現させ、膜貫通ドメインをコードするcDNAを単離するものである。本法を複数回膜貫通型タンパクであるアセチルコリンレセプターやCD36に応用したところ、理論通りに機能することが示された。さらに本年は、TMDT法をマウス胎生期13日胚の脳に発現する膜タンパクのcDNA単離に応用した。mRNAの3'-noncoding領域の非常に長いcDNAも多く存在することから、膜ドメインをコードするcDNAを効率よく単離するためにランダムプライマーを用いたcDNAライブラリーを作製した。単離されたcDNAをプローブにwhole-mount in situ hybridizationを行ったところ、ロンボメアや耳胞で発現する新規のcDNAが単離できた。また本法の改良点として、自動プラスミド抽出機でDNAを精製し、それぞれを96穴プレート上のCOS細胞に遺伝子導入し、細胞膜表面への融合タンパクのトラップ能を検定するという大量スクリーニング法を確立した。その結果、システマティックにcDNAの単離を行えるようになった。次いで核に局在化するタンパクのcDNAを単離するための方法(Nucleus Localization Signal Trapping method:NLST法)とそれに使用するNLSTベクターの開発及びその応用に関する研究を行なった。マーカーにはGFPのcDNAを用いた。GFP cDNAと核移行シグナルをコードするcDNAがin frameでつながれると、発現したGFPは核に移行する。蛍光を発する核を集めて、プラスミドを抽出し、大腸菌に導入することによってNLSをコードするcDNAを単離することが可能である。本年はそのためのベクターを作製、改良した。またマルチクローニングサイトに各種アミノ酸ホモポリマーを挿入して、細胞内の局在化を検討した。従来は塩基性アミノ酸のクラスターにNLS活性が見いだされていたが、今回新たに酸性アミノ酸のクラスターにも核移行活性があり得ることが示唆された。今後、本研究の応用として脳・神経系の核内タンパクのcDNA単離とその構造解析を行う予定である。
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