1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10169203
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 淳一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90221241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 正史 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10261322)
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Keywords | 天然物 / Ca^<2+>遊離 / カフェイン / β-カルボリンアルカロイド / 結合蛋白質 / アフィニティカラム / フォトアフィニティ / MBED |
Research Abstract |
細胞内Ca^<2+>貯蔵部位(筋小胞体)からCa^<2+>が遊離する現象は、細胞の多様な生理機能発現の制御に係わる重要なステップである。Ca^<2+>遊離チャネルとしてはリアノジンリセプターならびにIPリセプターが知られているが、これらのチャネルだけではCa^<2+>遊離に係わる種々の生理作用が十分に説明できないため、新しいCa^<2+>遊離チャネルとそれに係わる調節機構の存在が強く示唆されている。一方、筋小胞体のCa^<2+>遊離を促進する低分子化合物としてカフェインが知られているが、その作用は弱く、カフェインによるCa^<2+>遊離機構についてはいまだに解明されていない。 我々はこれまでに、Eudistoma属のホヤから分離した数種のβ-カルボリンアルカロイドが筋小胞体のCa^<2+>遊離を顕著に促進することを見い出し、その構造活性相関の検討により、強力な筋小胞体Ca^<2+>遊離促進物質として、7-メチルユージストミシD(BED)と9-メチル-7-ブロモユージストミンD(MBED)の開発に成功した。これまでの作用機序の解析からBEDとMBEDは、カフェインと同じ結合部位に結合し、かつカフェインの各々100倍および1000倍強力なCa^<2+>遊離促進作用を示すことが判明した。さらに構造活性相関を検討した結果、BEDやMBEDによるCa^<2+>遊離促進活性にはピリジン環のN原子の存在が重要であり、このN原子のないカルバゾール誘導体では逆にCa遊離を阻害することが明らかとなった。また、1位にヒドロキシメチル基を導入した化合物でもBEDとほぼ同程度のCa^<2+>遊離促進活性が認められた。MBEDの結合蛋白と結合部位を特定する目的で、BEDをプローブとしたアフィニティカラムおよびフォトアフィニティ用のリガンドの合成を行った。現在、これらのリガンドを用いて、カフェインと同じ結合部位に結会すると予想されるMBEDの結合蛋白と結合部位の特定を進めているところである。
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[Publications] Y.Ohizumi: "The powerful stimulatory action of 6-Ο-acetyl-9-methyl-7-bromoeudistomin D on contractile protein system of rabbit skeletal muscle" Jpn.J.Pharmacol.76. 113-116 (1998)
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[Publications] A.Seino-Umeda: "9-Methyl-7-bromoeudistomin D induces Ca^<2+> release from cardiac sarcoplasmic reticulum" Eur.J.Pharmacol.357. 261-265 (1998)