1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミオシン軽鎖キナーゼにより調節される細胞内Ca^<2+>流入機構の分子生物学的検討
Project/Area Number |
10169223
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡邊 裕司 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50262803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀晴 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助教授 (50135258)
寺田 肇 浜松医科大学, 医学部, 助手 (50252177)
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Keywords | カルシウムイオン / ミオシン軽鎖キナーゼ / マクロファージ |
Research Abstract |
【目的】非興奮性細胞において細胞内Ca^<2+>ストアにより調節される容量依存性Ca^<2+>流入機構が存在するがそのメカニズムは明らかではない。本研究では、ヒトマクロファージの容量依存性Ca^<2+>流入機構におけるミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の役割について検討した。【方法】Ficoll-Paqueを用い遠心分離したヒトマクロファージを用いた。細胞内Ca^<2+>濃度の変化はfura-2/AMを負荷後340/380nmの励起波長による蛍光強度比より評価した。ミオシン軽鎖(MLC)リン酸化は、Stullの方法に準じUrea Gel Electrophoresisを用いたWestern Blottingにより定量化した。【結果】(1)小胞体Ca^<2+>-ATPaseの阻害剤であるthapsigargin(TG:lμM)およびcyclopiazonic acid(CPA:100μM)投与により細胞内Ca^<2+>濃度は1μM以上の持続的な上昇を認めた。細胞外Ca^<2+>非存在下では、TGおよびCPA投与にて一過性の軽度な上昇を認めたが持続的な上昇は認められなかった。(2)MLCK阻害剤であるML-9(100μM)およびwortmannin(100μM)は、TGおよびCPA刺激時の細胞外からのCa^<2+>流入をほぼ完全に抑制したが、細胞内貯蔵部位からのCa^<2+>動員には影響を及ぼさなかった。(3)TG投与によりMLCリン酸化が促進したが、ML-9およびwortmanninはこのリン酸化をほぼ完全に抑制した。【総括】ヒトマクロファージにおいても血管内皮細胞と同様にMLCKにより調節される容量依存性Ca^<2+>流入機構が存在した。非興奮性細胞における容量依存性Ca^<2+>流入調節にMLCKが中心的な役割をはたすことが示唆された。
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