1998 Fiscal Year Annual Research Report
高感度放射性機能探索分子の開発とそれによる神経受容体機能の画像解析
Project/Area Number |
10169231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間賀田 泰寛 京都大学, 医学研究科, 助手 (20209399)
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Keywords | ニコチンレセプター / インビボ画像解析 / 脳 / 光学異性体 / レセプターマッピング / ラジオレセプターアッセイ |
Research Abstract |
本研究では、γ線放出放射性化合物を用いた脳神経伝達機能のインビボ解析法の開発を計画し、体内分布動態に影響する物理化学的性質は同じであるが、レセプターとの親和性に大きな差がある、キラルな放射性機能探索分子を設計し、両光学異性体の対象部位での集積量の差から対象レセプター機能をインビポで評価することを考えた。対象として、記憶や学習との関連性が注目されている中枢ニコチン受容体(nAchR)機能の解析を選択し、ニコチン誘導体の構造とnAchRとの相互作用に関するデータを基礎に分子レベルでのレセプター相互作用に加え、合成の容易性、体内での安定性等を考慮して、従来にないピリジン環の5位(メタ位)に放射性ヨウ素を導入した(S)-5-ヨードニコチン(S-IN)を開発した。本化合物のnAchR親和性は、インビトロレセプターアッセイにより、ニコチンと同程度、R体よりも約80倍高いことを見出した。また、血液-脳関門透過性はS、R体とも差なく血液-脳関門を高く透過することを明らかとした。さらに、本化合物をラットに靜注したところ、S-INは脳内のnAchRの密度の高い部位に局在し、インビボでも脳内のnAchRに結合していることを認めた。一方、R体は脳内の分布は局所的な差はほとんどなく、ほぼ均一であることを認めた。その結果、S体とR体の脳局所における集積量の差がレセプター密度に高く相関していることを見いだした。このことより、神経受容体機能の画像解析に光学異性体を利用することの有効性が示された。さらに、この結果に基づいて、画像的により鮮明なものを得るために、S-INより高いnAchR親和性を示す化合物の開発を計画し、S-INでの結果を基に、ニコチンの誘導体であるA85380について、ピリジン環の5位(メタ位)に放射性ヨウ素を導入した(S)-5-ヨード-A85380を合成した。本化合物は、インビトロレセプターアッセイにより、ニコチンより約10倍高いnAchR親和性を示した。
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[Publications] 佐治 英郎: "オピオイドレセプターのイメージング" 脳の科学. 20. 239-245 (1998)
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[Publications] T.Mukai: "Pharmacokinetic models to evaluate radiolebeling reagents for protein rediopharmaceuticals." Nucl.Med.Biol.25(1). 31-36 (1998)
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[Publications] Y.Arano: "Assessment of the radiochemical design of antibodies with a metabolizable linkage for target-selective redioactivity delivery" Bioconjugate Chem.9(4). 497-506 (1998)
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[Publications] 佐治 英郎: "放射性診断薬の開発の現状と新しい動向" 先端医療. 5(2). 45-49 (1998)