1998 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体光合成遺伝子発現制御シグマ因子をコードする核遺伝子の発現調節機構
Project/Area Number |
10170225
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小林 裕和 静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 助教授 (80170348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 康夫 静岡県立大学, 大学院・生活健康科学研究科, 助手 (00222191)
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Keywords | 葉緑体 / 光合成遺伝子 / 転写 / RNAポリメラーゼ / プロモーター / シロイヌナズナ / シグマ因子 / σ^<70>因子 |
Research Abstract |
葉緑体における光合成遺伝子の転写を司る細菌型RNAポリメラーゼは,そのコアを構成するα,β,β',およびβ"サブユニットが葉緑体(プラスチド)ゲノムにコードされており,転写される遺伝子のプロモーターを認識していると考えられるシグマ(σ)因子が核ゲノムにコードされている.本研究者らは,シロイヌナズナを用い,3種類のσ^<70>因子ホモログの遺伝子(SIG)のcDNAおよび核ゲノム遺伝子をクローニングし,これらSIG遺伝子産物の葉緑体局在および緑葉組織特異的発現を見いだした[Isono et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:14948-14953].すなわち,核にコードされるSIGの発現により葉緑体光合成遺伝子発現が制御されていると考えられる.SIG産物の機能を解明するとともに,SIGの転写制御機構を解明した. SIG遺伝子をCaMV35Sプロモーターの制御下に置いたコンストラクトを作製し,これらをタバコ従属栄養培養細胞BY-2およびシロイヌナズナに導入した.BY-2および暗順応シロイヌナズナ葉においては,内在性SIGの遺伝子発現が低下している.これらの系において,各σ因子を強制発現させ,その際の内在性葉緑体遺伝子および外来性改変葉緑体遺伝子プロモーター制御下のβ-glucuronidase(GUS)遺伝子(uidA)の発現をモニターした. 各σ因子を強制発現させたタバコ培養細胞BY-2および暗順応シロイヌナズナにおける葉緑体光合成遺伝子psbA(光化学系II反応中心D1タンパク質遺伝子),psbD(光化学系II反応中心D2タンパク質遺伝子),およびrbcL[リブロース-1,5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)Lサブユニット遺伝子]の発現を調べたところ,BY-2において,全てのSIG遺伝子は,psbA,psbD,およびrbcLの発現を促進したが,その程度は各SIGにより異なっていた.これらの結果から,高等植物シロイヌナズナのσ^<70>因子ホモログはσ因子として機能している.一方,細菌のσ^<70>因子と異なり,多様なプロモーター特異性を持っていることが明らかとなった.現在,各σ因子のプロモーター特異性についてさらに詳しく検討している.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y,Narusaka,M.Narusaka,H.Kobayashi,and K.Satoh: "The herbicide-resistant species of the cyanobacterial D1 protein obtained by thorough and random in vitro mutagenesis" Plant Cell Physiol.39. 620-626 (1998)
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[Publications] H.Kobayashi et al.: "Several strategies for dissecting and controlling functions in plant cells." Molecular Genetics of Host-Specific Toxins in Plant Disease(Developments of Plant Pathology,Vol.13),edited by K.Kohmoto,and O.C.Yoder,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht. 399-400 (1998)
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[Publications] 杉山達夫,仲本準,小林裕和: "光合成炭酸固定実験法: 細胞から分子まで.生物化学実験法シリーズ" 学会出版センター (印刷中), (1999)