1998 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発症と血管内皮細胞カベオラの特性変化に関する研究
Project/Area Number |
10177203
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 群馬大学, 医学部, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 寛 群馬大学, 医学部, 助手 (20282387)
青木 武生 群馬大学, 医学部, 助手 (70150919)
萩原 治夫 群馬大学, 医学部, 講師 (80189464)
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Keywords | カベオラ / カベオリン-1 / チロシン燐酸化 / v-Src / 内皮細胞 |
Research Abstract |
血管内皮細胞の細胞膜にはカベオラが高密度に存在する.カベオリン-1はカベオラの構造蛋白質であり,v-Srcによってチロシン燐酸化を受ける.今年度の研究ではチロシン燐酸化を受けたカベオリン-1に特異的に反応する抗体(PY14)を作製し,正常ラット組織中の分布および培養細胞に酸化ストレスを負荷してチロシン燐酸化を誘導した際の分布変化について検討した。PY14はv-Src発現細胞では22,23-24,25kDと反応し,脱燐酸により23-24,25kDの反応が消失した.Tyr-14を欠失させた変異カベオリン-1でも燐酸化に伴う電気泳動度の変化は認められ,燐酸化部位が単一ではないことが示唆された.カベオリン-1はv-Src発現細胞では細胞全体にわたって散在する粗大な顆粒として観察され,免疫電顕によりカベオラおよびカベオラ由来の小胞の凝集であることが確認された.正常ラット体内では,小血管内皮細胞などごく限られた細胞でのみカベオリン-1はチロシン燐酸化されていた.また培養内皮細胞では酸化ストレスなどによってチロシン燐酸化が誘導され,その結果,カベオラが小胞として細胞内に移行した.これらの結果は,(1)カベオリン-1発現量の増減とは別に,チロシン燐酸化によってカベオラ機能の修飾が起こり得ること,(2)内皮細胞においてはカベオラが小胞となり,細胞内にカベオラ由来と思われる小胞が集積することが判明した.これらの結果は内皮細胞のエンドサイトーシス,トランスサイトーシスなどにカベオリン-1のチロシン燐酸化が関与する可能性を示唆する.
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[Publications] Isshiki,M.,J.Ando,R.Kosenaga,H.Kogo,T.Fujimoto,T.Fujita,and A.Komiya:"Endothelial Ca^<2+> waves preferentially originate at specific loci in Caveolin-rich cell edges.," Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 5009-5014 (1998)
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[Publications] Fujimoto,T.,H.Hagiwara,T.Aoki H.Kogo and R.Nomura:"Caveolae:from a morphological point of view." J.Electron Microsc.47. 451-460 (1998)
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[Publications] Nomura,R.,and T.Fujimoto: "Jyrosine phosphorylated caveolin-1:immunolocalization and molecular characterization" Mol.Biol.Cell.(印刷中).