1998 Fiscal Year Annual Research Report
シアリダーゼ遺伝子による細胞リモデリングとその臨床応用
Project/Area Number |
10178101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 誠一 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80235043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 妙子 宮城県立がんセンター研究所, 部長 (50006110)
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Keywords | Sialidase(シアリダーゼ) / Sialic acid(シアル酸) / 遺伝子クローニング / 形質膜 / ガングリオシド / 大腸がん / 神経突起 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
先に、ウシ脳のシナプトソーム膜に局在するシアリダーゼのcDNAクローニングに成功し、一次構造を明かにした。このたび、COS細胞での発現実験によって、このcDNAはガングリオシドにほぼ特異的に作用し、N-末端が細胞外を向いている非典型膜タンパクをコードしていることがわかった。このシアリダーゼに高いホモロジーを有する酸素がヒトやマウスにも存在することがわかったので、PCRやハイブリダイゼーション法によって、ヒトおよびマウス酸素遺伝子のクローニングを行った。これらの一次構造はそれぞれウシ酵素の83%および78%相同性を示し、予想される高次構造も類似していた。 ヒトシアリダーゼcDNAを用いて、各組織の転写レベルを調べると、筋・神経組織で高く、消化器系組織では非常に低いことがわかった。これらの結果を基にがん組織における発現状態を調べたところ、消化器がん組織、とくに大腸がんで著しく高発現していることが明らかになった。しかし、がん転移能との相関性は得られなかった。また、マウス酵素cDNAをプローブとして、神経芽腫細胞Neuro2aの分化時における本酵素の役割を観察すると、神経突起形成につれて転写および活性両レベルでの亢進が認められた。以上のような発現の変化の機構や意識の解明をめざして、ゲノムDNAの検索や細胞への導入実験、トランスジェニックマウスの作成を行い、機能の実体を追及中である。 今後は、リソゾーム膜性シアリダーゼなど、GM2を水解するガングリオシド・シアリダーゼのクローニングも完成させ、主要なシアリダーゼcDNAをすべて駆使することによって、生理的脱シアリル化の全貌を把握し、がんや脳神経・筋疾患などの病態機構の解明をめざしたい。
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[Publications] Miyagi,T.,Wada,T.,Iwamatu,et al.: "Molecular cloning and characterization of plasma-membrane-associated sialidase specific for gangliosides." J.Biol.Chem.274. 5004-5001 (1999)
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[Publications] 宮城妙子: "シアリダーゼ研究の新展開" 蛋白質・核酸・酵素. 43. 2358-2365 (1999)
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[Publications] Hata,K.Wada,T.,Hasegawa,A.,et al.: "Purification and characterization of a-membrane-associated ganglioside sialidase from bovine brain." J.Biochem.123. 899-905 (1998)
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[Publications] Sawada M.,Moriya S.,Shineha R. et al.: "Comparative study of sialidase activity and GM3 content in B16 melanoma variants with different metastatic potential." Acta Biochimica Polonica. 45. 343-349 (1998)
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[Publications] Matsuura,K.,Shiga,K.,Yokoyama,J.et al.: "Loss of heterozygosity of chromosome 9p21 and 7q31 is correlated with high incidence of recurrent tumor in head and neck sequamous cell carcinoma" Anticancer Res.18. 453-458 (1998)