1998 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ ヘパラン硫酸プロテオグリカンの細胞間シグナル系における機能
Project/Area Number |
10178212
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中藤 博志 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90275008)
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Keywords | プロテオグリカン / キイロショウジョウバエ |
Research Abstract |
キイロショウジョウバエdally遺伝子は細胞膜結合型ヘパラン硫酸プロテオグリカンのコアタンパク質をコードしている。dally突然変異体の幼虫中枢神経系では、神経芽細胞の分裂周期の進行が異常となる。また、翅、複眼、触角、外部生殖器などの成虫形態にも異常をきたす。以前の研究において、私はDallyがTGF-βホモログであるDppのシグナル伝達過程に機能を持つことを明らかにしてきた。一方初期胚においては、dally遺伝子はwg遺伝子と関連した発現パターンを示すことから、dally遺伝子のWgシグナル系への関与が示唆された。本研究では、dallyとwg遺伝子の関係に関して遺伝学的解析をおこない、次の結果を得た。1)dally突然変異体の胚表皮の表現型はwg突然変異体のものと同様であり、dally過剰発現による表現型はwg過剰発現により引き起こされる表現型と一致する。2)wg機能減少型突然変異はdally表現型を増強する。3)dally過剰発現により、wg機能減少型突然変異体の表現型が回復する。4)Wgシグナル系に必要な遺伝子としてUDP-グルコース脱水素酵素をコードするsugerless(sgl)のが知られているが、sgl/dallyトランスへテロ個体の胚表皮はwg表現型を示す。これらの結果から、細胞膜結合型プロテオグリカンDallyが胚期にWgシグナル系において機能すること、また、その活性には糖鎖の付加が必須であることが判明した。すなわち、Dallyは発生過程にDpp、Wgを含む複数の分子の補受容体として機能することを示唆している。この分子が糖鎖構造を変換することによりリガンド特異性を変化させている可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakato, H.: "Cell Surface Proteoglyccus and Growth Factor Signalling in Development" Human Frontier Science Program 印刷中, (1999)
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[Publications] Nakato, H.: "Animal Cell Technology" 印刷中, (1999)