1998 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御タンパク質機能ドメインの大量発現および高次構造の解析
Project/Area Number |
10179201
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 康夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10004467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 和博 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80175421)
藤井 義明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00098146)
|
Keywords | DNA結合タンパク質 / 転写因子 / PASドメイン |
Research Abstract |
本研究は外界からのシグナルに応じて遺伝子の発現を調節する転写制御因子の機能ドメインの高次構造と機能解析を目的とし、環境汚染物質ダイオキシンなどの多環性芳香族化合物を結合する受容体型転写因子AhR(Aryl hydrocarbon receptor)、これとへテロダイマーを組むパートナー因子Amt(AhR nucleartranslocator)に見出された新しい構造モチーフPASを取り上げた。PASはホモロジーの高い二つのサブドメインPAS-A、PAS-Bとから成る。いろいろなタンパク質のPAS領域を大腸菌で大量発現させたが大部分は不溶性タンパク質となった。そのなかで、マウスArnt2のPAS-Aが可溶性で、精製も進んだ。東京都臨床医学総合研究所・稲垣冬彦博士のご協力によるCDスペクトルや動的レーザー光散乱測定の結果、このタンパク質が稀薄溶液中ではホモダイマーとして存在し、α-helixを多く含むことを明らかにした。しかし、高濃度では高次会合体を形成する性質のためNMR高次構造解析には展開できなかった。この局面の和開のため、(1)発現領域内にある2個のシステインをセリンに置換したところ溶解性は増し、高次会合体形成は低減されたうえ、AhR-Arnt複合体のDNA結合活性を競合阻害する活性をもつ試料が得られたのでシステイン-セリン変換は有効な対策であると結論した。つぎに(2)これまでのアミノ酸配列ホモロジーと機能解析から推定したドメインはタンパク質の構造ドメインと一致していない可能性があるのでバキュロウィルスによりAhR、Arntの全長タンパク質を発現させ、プロテアーゼ消化に抵抗する構造ドメインを特定する途上にある。その領域のシステイン-セリン変異体を大量調製し、稲垣博士と協力してNMR構進解析に展開する計画である。
|