1998 Fiscal Year Annual Research Report
選択的安定同位体標識を用いた高分子量タンパク質複合体の溶液構造決定法の開発
Project/Area Number |
10179221
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 隆 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 研究員 (80261147)
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Keywords | triple-resonance NMR / 高分子量タンパク質 / 安定同位体標識 / global fold / アミノ酸選択的標識 |
Research Abstract |
平成10年度は主として,(1)高分子量タンパク質におけるアロマティックアミノ酸側鎖シグナル解析のための安定同位体標識法およびNMR測定法の開発,(2)選択的プロトン標識を用いた高分子量タンパク質のglobal foldの決定,の2点について研究を行った. (1)については,アロマティック側鎖の磁化を,分離のよいアミド窒素,アミドプロトンに伝達させて観測する経路を考え,新しいパルス・シークエンスを考案した.またこれらの測定においては,Cβ/Cαを経由した磁化の伝達の際に著しい感度低下が予想されたために,Hβ/Hαを選択的に2H標識することを試みた.安定同位体標識試料は,大腸菌での大量発現系を用いてα/β-^2H/^<13>C/^<15>N-Pheを取り込ませることによって調製した.モデル試料(〜1mM)を用いて上記の測定を行ったところ,すべてのPhe残基側鎖のシグナルを,実験上妥当な感度で観測することができた.またα/β選択的^2H標識によって著しい感度上昇が得られることが判明した.この手法は高分子量タンパク質におけるPhe/Tyr残基側鎖シグナルの帰属に普遍的に利用できる. (2)については,分子量27Kの酵母YUH1を用いて研究を行った.試料として,Ile/Leu/Val/Phe/Tyr残基を^1H/^<15>N標識し,他をユニフォーム^2H/^<15>N標識したものと,Ile/Leu/Valを^1H/^<13>C/^<15>Nで,またPhe/Tyrを^1H/^<15>N標識し,他をユニフォーム^2H/^<15>N標識したものを作成した.この手法を用いることによってシグナルのオーバーラップが緩和され,速やかに側鎖シグナルの帰属を行うことができた.さらにこれらの試料について観測した3D NOESYスペクトルを解析しglobal foldの決定を行った.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Taro Nishinaka: "Base pair switching by interconversion of sugar puckers in DNA extended by proteins of RecA-family:a model for homology search in homologous genetic recombination." Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95. 11071-11076 (1998)
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[Publications] Tohru Terada: "Nuclear magnetic resonance and molecular dynamics studies on the interactions of the Ras-binding domain of Raf-1 with wild-type and mutant proteins." J.Mol.Biol.286. 219-232 (1999)