1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10179222
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
芝崎 太 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (90300954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 信彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (80311421)
|
Keywords | カルシニューリン / cytochrome c / Bcl-2 / アポトーシス / ミトコンドリア / 構造変化 / 蛋白発現 |
Research Abstract |
我々はまずCnAとBcl-2の結合に注目し、脱リン酸化酵素であるCnAによるBcl-2の機能調節を調べた。Bcl-2には7-8ヶ所にリン酸化部位があり、これまでの報告ではserine70が機能的なリン酸化部位としての可能性を指摘されている。Dexanlethzone誘導apoptosisにおいて、各リン酸化部位をmimikした変異体(Sto A,S to D)によるBcl-2の抗アポトーシス効果を判定したところ、BH4domain内にあるS24がBcl-2の機能を劇的に変化させることを見いだした。即ちserine24をalanineに置換した脱リン酸化型Bcl-2-S24Aは強い抗アポトーシス作用を示すが、serine24をaspartateに置換したリン酸化型Bcl-2-S24Dは抗アポトーシス効果が無いばかりか、逆にアポトーシスを誘導するという結果を得た。またリン酸化型Bcl-2は結合蛋白であるBaxとの結合能を失っていた(投稿中)。最近の報告では、Bcl-2から乖離したBaxがミトコンドリア膜のMPT(Mitochondrial Permeablijty Transition)porcに結合し、cytochrome cの流出およびcaspaseの活性化によるアポトーシスの誘導につながることが示唆されている。これに加え我々の結果を考え合わせると、CnAとBcl-2キナーゼ(現在不明)によってBcl-2のBH4にあるserine24がリン酸化脱リン酸化により調節され、Baxの乖離によるミトコンドリアからのcytochromecの流出によるアポトーシスの制御系が存在していることが考えられる。今後、Bcl-2キナーゼの同定も含め詳しい解析を続けていく予定である。一方、JohnC.Reed等は我々との共同研究によりeanはBcl-2だけでなくpro-apoptoticでBc1-xL結合であるBadをもリン酸化し、アポトーシスを制御していることを見いだした(Science in press)。これらの結果はserineのリン酸化脱リン酸化によってアポトーシスが直接制御されていることを証明しており、リン酸化による構造変化や他の蛋白との結合様式の変化を解析することは今後非常に重要な課題となる。我々はBcl-2の機能をリン酸化による構造変化の観点から解析するために、Bcl-2の変異体Bcl-2-S24A,Bcl-2-S24D,Bcl-2wtの3種類をpET vectorを用いた大腸菌発現系にて蛋白精製を試みた。Bcl-2-S24A,とBcl-2wtに関しては4-5mg/Lの蛋白発現が得られたにも関わらず、Bcl-2-S24Dは発現自体が大腸菌の増殖を抑制し殆ど精製蛋白が得られなかった。今後の課題として、細胞障害性を持つ蛋白の大量発現系の開発がまず必要であり、現在昆虫細胞、hvbridoma等を用いた分泌系による蛋白発現を目指している。
|
-
[Publications] Zhu,J.,Shibasaki,F.,et al.: "Intramolecular masking of nuclear import signal on NF-AT4 by casein kinase I and MEKKI." Cell. 93. 851-861 (1998)
-
[Publications] Shibasaki,F.: "A new aspect of serine/threonine phosphatase 2B calcineurin." J.Biochem. (発表予定). (1999)
-
[Publications] Wang,HーG.,Pathan,N.,Shibasaki,F.,et al.: "Calcineurin promotes cell death by dephosphorylating BAD" Science. (発表予定). (1999)
-
[Publications] Shimoyama,M.,Komuro,I.et al.: "Calcineurin plays a critical role in pressure overload-induced cardiac hypertrophy." J.Clinic.Invest.(発表予定). (1999)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンとBcl-2の相互作用および情報伝達系との関わり" 臨床免疫. 30. 689-696 (1998)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンの新たな展開:神経細胞死制御" 脳の科学. 20. 203-208 (1998)
-
[Publications] 大森信彦、芝崎 太: "カルシニューリンによる転写因子調節、NFーATの機能制御を中心に" 蛋白質 核酸 酵素. 43. 1047-1054 (1998)
-
[Publications] 下重美紀、芝崎 太: "Ca^<2+>と動態;カルシウム/カルシニューリンを介するアポトーシス制御機構" 蛋白質 核酸 酵素(臨時増刊号). 43. 1877-1883 (1998)
-
[Publications] 近藤英作、芝崎 太: "Bcl-2によるアポトーシス制御機構の新たな展開;カルシニューリンはBcl-2の機能制御因子である" 実験医学. 16. 1253-1258 (1998)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンの脳における新たな展望" 神経精神薬理. 16. 205-208 (1998)
-
[Publications] 瀬戸口 るり、芝崎 太: "CTLA-4(CD152)からのシグナル" 臨床免疫. (発表予定). (1998)