2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10182101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 清孝 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50101093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 宗隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (50202130)
松岡 信 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 教授 (00270992)
福田 裕穂 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10165293)
荒木 崇 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00273433)
篠崎 一雄 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 主任研究員 (20124216)
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Keywords | 胚形成 / 分裂組織 / 制御遺伝子 / 植物器官形成 / シロイヌナズナ / イネ / ヒャクニチソウ / 突然変異体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、植物の分裂組織から器官が分化する過程を支配する遺伝的制御の機構を理解することである。平成12年度の研究成果は以下の通りである。岡田は、シロイヌナズナの分裂組織の維持ができなくなったshd突然変異体を解析し、SHDタンパク質が分裂組織のサイズの維持に関わるCLV1,2,3タンパク質の細胞膜への移動または正常な3次元形態をとるために必要であることを示した。また、PRS遺伝子、FIL遺伝子、RBE遺伝子など分裂組織および葉や花器官の横方向の軸に依存した発現パターンを示す遺伝子群の発現機構と機能を調べた。さらに、根端分裂組織の維持に関わるFTR遺伝子やHLR遺伝子、CPC遺伝子、配偶体の形成に関与するKOM遺伝子やFLP遺伝子、DAD1遺伝子についても解析を進めた。荒木は、シロイヌナズナの頂端分裂組織の形成を支配するFAS1およびFAS2遺伝子を単離して両者がクロマチンアセンブリ因子CAF1のサブユニットをコードしていることを示し、その機能を解析した。柿本はサイトカイニン耐性突然変異体からCRE1遺伝子を単離し、CRE1タンパク質が、サイトカイニンを与えると細胞内にシグナルを伝達する能力を持つことから、CRE1タンパク質がサイトカイニンの受容体であることを示した。篠崎はシロイヌナズナのゲノム情報を基にして、植物細胞の分裂と伸長の制御に関与すると期待される遺伝子のノックアウト株を多数分離して解析するとともに、雄性不稔や胚発生不全、葉の形態異常などを示すトランスポゾン挿入突然変異体を分離して原因遺伝子を解析した。杉山は培養細胞から茎または根の分裂組織を再構築する機構に関わる突然変異体を多数解析し、その内の一つであるsrd2突然変異体の原因遺伝子を単離した。田坂は、胚発生において茎頂分裂組織の形成に必要なCUC1遺伝子を単離し、この遺伝子がCUC2遺伝子と共同して働くことを示した。また、茎がジグザグに屈曲するzig突然変異体を解析し原因遺伝子を単離した。福田はファージディスプレイ法と抗体を用いてヒャクニチソウの維管束細胞間相互作用に関わる制御因子を解析した。また、管状要素の分化とオートリシスにかかわる遺伝子を解析した。松岡はイネの胚発生時に最初に分化する原表皮組織でのみ発現する遺伝子や、根の静止中心で特異的に発現する遺伝子を単離した。また、茎頂分裂組織の形態異常を示す数種類の突然変異体を解析した。これらの研究成果は、学術雑誌に論文を発表した他に、国内外の学会やシンポジウムで報告した。
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[Publications] T.Kagawa: "Arabidopsis NPL1 : A phototropin homologue controlling the chloroplst high-light avoidance response "Science. 291. 2138-2141 (2001)
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[Publications] H.Kaya: "FASCIATA genes for chromatin assembly factor-1 in Arabidopsis maintain the cellular organization of apical meristems"Cell. 104. 131-142 (2001)
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[Publications] T.Inoue: "Identification of CRE1 as a cytokinin receptor from Arabidopsis"Nature. 409. 1060-1063 (2001)
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[Publications] K.Koizumi: "A series of novel mutants of Arabidopsis thaliana that are defective in the formation of continuous vascular network"Development. 127. 3197-3204 (2000)
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[Publications] S.Takada: "The CUP-SHAPED COTYLEDON1 gene of Arabidopsis regulates shoot apical meristem formation"Development. 128. 1127-1135 (2001)
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[Publications] T.Sakamoto: "KNOX homeodomain protein directly suppresses the expression of a gibberellin biosynthetic gene in the tobacco shoot apical meristem"Genes & Development. 15. 581-590 (2001)
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[Publications] 岡田清孝 他: "植物細胞工学シリーズ13植物の形を決める分子機構"秀潤社. 287 (2000)
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[Publications] 岡田清孝 他: "モデル植物ラボマニュアル"Springer-Verlag Tokyo. 275 (2000)