1998 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro体外受精系を用いた被子植物の初期胚形成機構の顕微分子生物学的研究
Project/Area Number |
10182204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒岩 常祥 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50033353)
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Keywords | トレニア / in vitro / 重複受精 / 胚発生 / 極核 / 卵細胞 / 胚珠培養 / 生体染色 |
Research Abstract |
1 トレニアのin vivo系で重複受精、胚発生を追跡 柱頭に受粉した花粉は5分で発芽する。花粉管は2.3mm/hの速度で花柱の中を伸長し、4時間後、花粉管の内部で雄原細胞が分裂した。8.5時間後、花粉管は胚嚢に達し、二つある助細胞の一つに、線形装置を通過して進入した。DAPI染色で細胞核の挙動を追ったところ、受粉後9時間目に最初の精細胞が受精し、2つ目の精細胞は約5分の時間差をもって受精することが明らかとなった。 受精してから1時間後に、精細胞核と卵細胞核が融合した結果、卵細胞に2個の核小体が出現した。間もなくその核は合点側に移動した。一方中央細胞では、花粉管が達する前に中央細胞の中心部に位置していた極核が卵細胞に接する位置まで移動した。そこで受精し精細胞と合体した後、再び合点側に移動した。受粉から15時間後、第一分裂が起こり、初期胚発生が始まった。 2 in vitro重複受精系の確立 次in vitroでの重複受精系の確立のために、上記のようなin vivoの重複受精系を参考に、花粉管と胚珠を同時に培養できる培地の開発を行った。花粉と胚珠を超低融点アガロースの固形培地に包埋して培養する方法が有効であった。同時培養を行って間もなく、花粉管は裸出胚嚢の珠孔部に向かって選択的に伸長し、線形装置に達した。胚嚢を熱処理したり、助細胞を破壊したりすると花粉管の誘導はおこらなかった。このことから、助細胞が花粉管の誘導に必要な物質を分泌していることが示唆された。しかしこの系では花粉管が胚嚢に達しても二つの精細胞を放出出来ないことが分かった。そこで、PEGとポリリジンを培地に添加したところ、80%が内容物を放出できるようになった。このような条件で重複受精した胚珠の培養を継続した結果、初期胚発生をすることが明らかになってきており、in vitroでの重複受精に成功したと考えている。 今後はこの系を用いて、細胞核やオルガネラ核を生体染色し、重複受精過程から初期胚発生過程における細胞核やオルガネラ核の挙動をはじめ、諸現象の微細なステップを解明するとともに、受精後において特異的に発現する遺伝子を解析する、顕微分子生物学的方法を開発したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Inada et al.: "Three-dimensional analysis of the cenescence program in rice (Olyza sativa L.) coleopliles" Planta. 206. 585-597 (1998)
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[Publications] Higashiyama et al: "Guidance in vitro of pollen tube to naked embryo sac of Torenia fournieri" The Plant Cell. 10. 2019-2031 (1998)
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[Publications] Sodmergen et al.: "Potential for biparental Cytoplasmic in heritance in Jasminum officinale and Jasminum nudiflorum." Sex Plant Reprod. 11. 107-112 (1998)
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[Publications] Miyagishim et al.: "Ordaly formation of the double ring structure for plastid and mitochondrial division in the unicellulas red alga" Planta. 206. 551-560 (1998)