1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物の多細胞システム構築の基盤となる細胞分裂の制御機構
Project/Area Number |
10182217
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
新名 惇彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30029235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 晃 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80283935)
関根 政実 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70226653)
吉田 和哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50252622)
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Keywords | サイクリン / Cdc2 / 細胞周期 / Rbタンパク質 |
Research Abstract |
1. タバコのcdc2遺伝子と4種類のサイクリンD遺伝子をバキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞でタンパク質を合成した結果、Cdc2は4種類のサイクリンDと複合体を形成し、in vitroでRbタンパク質をリン酸化することがわかった。動物ではサイクリンDはサイクリン依存性キナーゼCDK4またはCDK6とのみ活性のある複合体を形成し、Rbタンパク質をリン酸化することから、植物の8bキナーゼは動物と異なることがわかった。 2. サイクリンD遺伝子の発現様式を解析したところ、2種類のサイクリンDが植物ホルモンによって発現誘導されることがわかった。また、これらの遺伝子は細胞周期に伴って発現量が変動することがわかった。動物のサイクリンD遺伝子は増殖因子依存的に発現し、細胞周期に伴う変動は見られないことから、植物のサイクリンD遺伝子は転写レベルで動物とは異なる制御シグナルを受容している可能性が示唆された。 3. タバコのE2Fホモログ遺伝子を単離し、ノザン解析によりG1期後期に発現量が一過的に上昇する発形パターンを示すことがわかった。また、サザン解析によりタバコには2、3コピーの類似遺伝子が存在することが示唆された。次に、動物のE2FはRbと共にDPファミリーの転写因子と結合することから、two-hybrid法で結合解析を行った結果、タバコE2FはタバコRbホモログと結合し、ヒトDP1とは弱いながら結合することが示唆された。E2FはDPと2量体を形成し、E2F認識部位に結合する。タバコE2FはヒトDP1存在下でも動物のE2F認識部位に結合しないことから、核タンパク質によるゲルシフト解析を行った。精製したタバコE2Fを用いて作製した抗体により、タバコE2F遺伝子のプロモーター領域にスーパーシフトか生じることがわかり、タバコE2FがDNAに特異的に結合する可能性が示唆された。
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