2002 Fiscal Year Annual Research Report
シンクロトロン放射光による生物マシーナリーの構造生物学
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10188101
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月原 冨武 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00032277)
三浦 謹一郎 (株)プロテイオス研究所, (研究職)代表取締役 (30000227)
江橋 節郎 岡崎国立共同研究機構, 生理研, 名誉教授 (10009863)
田中 勲 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70093052)
三木 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10116105)
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Keywords | 生物マシーナリー / シンクロトロン放射光 / 構造生物学 / X線結晶構造解析 / 生体高分子複合体 / 生体高分子集合系 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
生体高分子(蛋白質、核酸等)の複合体で、"生きている状態"を演出する最小限の機能(ポリペプチド鎖の合成、特定の有機物質の分解代謝、プロトンの汲み出し、等々)を担っているような機能単位を「生物マシーナリー」と呼ぶ。驚くべきことに、多くの「生物マシーナリー」は、その巨大さ(分子量が数十万から数百万)にもかかわらず、結晶として取り出すことが出来る。そして、今やシンクロトロン放射光の利用を初めとする数々の技術革新のおかげで、蛋白質結晶学(生体高分子のX線結晶構造解析の技術)は一時代前よりもはるかに強力になっており、まるごとの「生物マシーナリー」の立体構造を原子のレベルで解明することが十分可能となってきている。実際、我国からも先駆的な業績がいくつも上がっている。しかし、シンクロトロン放射光を利用した新しい蛋白質結晶学に関しては、技術的に特に優位にあるにもかかわらず、我国のこの分野への寄与は、いまのところ、甚だ不十分である。そこで、本特定領域の設定によって、生化学者、分子生物学者と結晶学者との交流の場(フォーラム)を設定し、両者間の共同作業を飛躍的に推進すると同時に、これらの全ての多彩な研究者達によるシンクロトロン放射光の活用が飛躍的に容易となるような状況を作り出すことを目的とした。 生物マシーナリーの実態は生体高分子群の複合体(複合体型)または集合(集合系型)である。集合系型マシーナリーを構成する生体高分子群は、一見したところでは互いに孤立していながら、遺伝子レベルand/or蛋白質レベルで、系統的な制御を受けている。本領域では、シンクロトロン放射光を活用した最新のX線結晶構造解析の技術を駆使して、複合体型マシーナリーの立体構造を丸ごと原子のレベルで解明したり、集合系型マシーナリーを構成する生体高分子群の立体構造を一網打尽に解明することを目指した。本総括班では、これらの研究活動全体の統括を行なった。また、その一環として平成14年7月に静岡県熱海市でワークショップを、平成15年1月に大阪府吹田市で公開シンポジウムを行った。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kato, Y., Ito, M., Kawai, K., Nagata, K., Tanokura, M.: "Determinants of ligand specificity in groups I and IV WW domains as studied by surface plasmon resonance and model building"Journal of Biological Chemistry. 277・12. 10173-10177 (2002)
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[Publications] Sawano, Y., Muramatsu, T., Hatano, K., Nagata, K., Tanokura, M.: "Characterization of genomic sequence coding for bromelain inhibitors in pineapple and expression of its recombinant isoform"Journal of Biological Chemistry. 277・31. 28222-28227 (2002)
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[Publications] Iwasaki, W., Sasaki, H., Nakamura, A., Kohama K., Tanokura, M.: "Metal-free and Ca^<2+>-bound structures of a multidomain EF-hand protein, CBP40, from the lower eukaryote, Physarum polycephalum"Structure. 11・1. 75-85 (2003)
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[Publications] Hatano, K., Kojima, M., Tanokura, M., Takahashi, K.: "Nuclear magnetic resonance studies on the pΚ_a values and interactions of ionizable groups in bromelain inhibitor VI from pineapple stem"Biological Chemistry. 384・1. 93-104 (2003)
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[Publications] Maeda, M., Takeuchi, K., Kojima, M., Tanokura, M., Kimura, K., Amemiya, Y., Kihara, H., Takahashi, K.: "Kinetic studies of unfolding process of aspergillopepsinn II by pH-jump methods"Biochemical and Biophysical Research communications. 301・3. 745-750 (2003)
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[Publications] Katayama, H., Nagata, K., Ohira, T., Y.F., Tanokura, M., Nagasawa, H.: "The solution structure of molt-inhibiting hormone from the kuruma prawn Marsupenaeus japonicus"Journal of Biological Chemistry. (in press). (2003)
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[Publications] 田之倉優, 阿久津秀雄, 村松知成: "生化学キーノート(Hammes, B. D, Hooper, N. M. 著)"シュプリンガーフェアラーク東京. 464 (2002)
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[Publications] 田之倉優, 村松知成, 八木澤 仁: "分子生物学キーノート(Turner, P. C., McLennan, A. G., Bates, A. D., White, M. R. H. 著)"シュプリンガーフェアラーク東京. 398 (2002)