1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10201204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁谷 博史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00226193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花咲 正晴 日本開発銀行, 設備投資研究所, 主任研究員
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
丸山 真人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40209705)
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Keywords | 米国経済 / アメリカ経済 / 東アジア / 貿易 / 投資 / 直接投資 / パクス・アメリカーナ / 福祉国家 |
Research Abstract |
本年度は、研究協力者も含めて10名を超える研究チームを形成し、それぞれの分担も含めて、全体を「東アジアからの視点からの米国経済分析」という視点を基軸にして編成する作業を行った。すなわち、第1編「米国経済の構造と歴史」(株式会社企業、労使関係、金融構造、情報及び技術、全体のマクロ構造)、第2編「パクス・アメリカーナと米国型福祉国家システム」(軍事財政、年金、医療、福祉、教育、住宅、農業政策等)、第3編「国際経済活動と東アジアへのインパクト」(米亜間の貿易構造や国際金融関係のサーベイ、中国企業改革、日韓ハイテク産業、日本への直接・間接投資、東アジア通貨危機)という編成であり、その編成の中での相互関連を意識しながら各人の報告を中心とする研究会を実施した。 そこでは、以下のようなことが問題意識として共有されるようになった。米国が東アジアに与えたインパクトは、財・サービス貿易、証券投資、直接投資という直接的なものだけではなく、東アジア側における、戦禍からの復興、経済的な「離陸」、社会主義からの移行等の様々な「市場経済的なメカニズムによる経済発展」の過程で、市場経済のチャンピオンである米国型経済システムを取り入れる形で、経済社会全体の構造変化が進行したので、貿易や国際金融に直接かかわる部分だけではなく、いわば経済社会全体におけるアメリカ化が意識的、無意識的に行われてきたのであり、たとえば、日本の長期的な経済成長の中で農業社会として有していた様々な社会的メカニズムが変形あるいは破壊されたのも一つの事例と見ることもできよう。 21世紀にいよいよ本格化するアジア社会の「離陸」において、米国からのインパクトを取捨選択して取り入れなければならないし、また、米国型システムについての情報自体も取捨選択する必要がありそうだという認識も強められた。
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