2001 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と役割
Project/Area Number |
10201205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄司 興吉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30061203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 実 慶應義塾大学, メディア・コミュニケーション研究科, 教授 (10235856)
町村 敬志 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (00173774)
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
吉見 俊哉 東京大学, 社会情報研究所, 教授 (40201040)
吉野 耕作 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50192810)
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Keywords | 情報化社会 / 情報主義 / ディジタル・デヴァイド / 国際マスコミ / インターネット / アジア英語 / アメリカ的生活様式 / グリーバリゼーション |
Research Abstract |
昨年度までの研究の肉付けに努力したので、基本的な研究成果は昨年度の通りである。 1)アメリカにおける情報革命の進行過程:シリコンヴァレーで情報革命の中枢過程が進行した経過と理由がほぼ明らかになった。この地域に情報主義の先駆者が集中し、彼らを支える投資家や企業家が集まったことが原因だが、他方で情報革命がアメリカ国内にディジタル・デイヴァイドを生じさせ、それを世界中に拡大してきていることも見逃せない。 2)アジア太平洋地域への国際マスコミとインターネットの普及:アメリカがイギリス(BBC)と並んで、世界中に国際マスコミのネットワークを広げてきたことは評価されるが、たとえばCNNの普及過程では、当事者がアジア地域では、通用性の高いイギリス英語を戦術的に一部採用するなど・企業的な配慮を先行させてきていることも見過ごせない。しかし、そうした過程をつうじて、この地域に「アジア英語」が普及し始めているなど意識と社会の基礎に重要な変化も生じている。 3)日本およびアジア地域のアメリカ化とそれを超える動き:こうした影響のもと、日本ではすでに戦前から進んでいた社会生活のアメリカ化が、アジア地域の諸社会でも近代化あるいは現代化の進行とともに急激に進み始め、電化製品やジーンズやファーストフードを基礎にした画一的な生活様式が広がってきている。しかしよく見ると、それらのなかに伝統的なものや近代化(現代化)とともに生じた独自なものを組み込んで、アメリカ的なものを超えてグローバルな生活様式を創出する動きも現れている。 4)アジア太平洋地域諸社会の根底的な社会・文化変容:以上の全体の結果として、アジア太平洋地域には民衆レヴェルからの情報社会および情報文化とも呼ぶべきものが醸成されてきている。上からの文化支配に見えるものが下からのユニークな文化形成を促し、アジア太平洋地域から米国を逆に変えていく可能性もある。
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[Publications] 庄司 興吉: "Sociology"An Introductory Bibliography for Japanese studies. Vol.XI. 179-225 (1998)
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[Publications] 古城 利明: "Considering Okinawa as a Frontier"Institute of Social Sciences Chuo University, Occasional Papers. No.7. 1-22 (2001)
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[Publications] 矢澤 修次郎: "情報化と組織およびコミュニティーネットワーク:日本とアメリカの比較"梶田孝道著『国際化とアイデンティティ』ミネルヴァ書房. 32-60 (2001)
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[Publications] 町村 敬志: "グローバリゼーションのローカルな基礎『単一化された想像上の空間』形成をめぐる政治"社会学評論. 50巻4号. 124-138 (2000)
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[Publications] 吉見 俊哉: "空間の政治、あるいは都市研究とメディア研究の対話をめぐって"現代思想. 1999年12月号〜2000年6月号. (1999)
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[Publications] 山田 信行: "グローバリゼーションと「国民社会」-労使は修練するか"社会学評論. 52巻2号. 122-137 (2001)
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[Publications] 吉見俊哉, 水越 伸: "メディア論"放送大学教育振興会. 199 (2001)