2000 Fiscal Year Annual Research Report
経済学・経営学における空間データの構築,管理,分析手法の開発とその適用
Project/Area Number |
10202202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金本 良嗣 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00134198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 幸弘 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (90283811)
田渕 隆俊 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70133014)
矢島 美寛 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70134814)
里村 卓也 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (40324743)
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Keywords | 都市圏 / 空間データ / 市町村データ / 都市規模 / 集積の経済 / 空間統計 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、基礎的経済社会データのデータベース化を推し進めた。具体的には、住宅統計調査、サービス業基本調査、国勢調査第1次・第2次・第3次基本集計、工業統計市町村編をデータベース化した。また、昨年度のプロトタイプのデータベースの検索・抽出プログラムを実用可能な段階まで改良した。現在では、オラクル上のデータベースで、任意の項目を選んで、csvファイルでダウンロードできるシステムが完成している。このシステムにより、研究者が容易にデータにアクセスし、経済分析を行うことが可能になった。 これらのデータ及びこれまでに整備したデータを用いて以下のような研究活動を行った。 (1)都市圏の定義に関して、アメリカにおける大改訂を検討し、日本における都市圏設定案をとりまとめた。 (2)マーケティング・サイエンスの視点から、空間情報の分析手法の開発を試みた。マンション販売における実務上の問題点を整理し、消費者のマンション購買行動を説明するモデルの構築と首都圏のマンション販売データを用いた実証分析を行った。販売を説明する変数として、価格や利便性に加えて個別空間(地域)に対して消費者が持つ「価値」を階層ベイズ法により推定した。 (3)地価データや土地利用データを用いて環境価値を計測するヘドニック法を地理情報システムと組み合わせる手法を開発している。 (4)現実のデータを当てはめることにより、現在の規制政策を定量的に評価できる都市鉄道の規制政策評価モデルを作成した。 (5)差別化された財が複数地域のあいだで交易されるクルーグマンモデルを、さらに発展させた。技術進歩によって輸送費用が低下する場合について、製造業の空間的集積の変化、地域格差や社会厚生の変動を分析した。また、複数地域における分布の安定条件を求め、進化ゲームや一般均衡における安定条件との関連を調べた。 (6)時間相関、空間相関を同時に考慮したモデルと長期依存性を持つモデルについて、その妥当性を検定するノンパラメトリックな検定統計量や推定方法を構築し、その理論的性質を導出した。また、実際の経済データに応用し、その有効性について議論した。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 松田安昌,矢島美寛: "空間時系列モデルの推定と検定"第68回日本統計学会講演報告集. 23-24 (2000)
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[Publications] 松田安昌,矢島美寛: "空間時系列モデルの検定について"研究集会「時空間データ解析」報告集. 3-7 (2000)
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[Publications] Peter M.Robinson,矢島美寛: "On fractional cointegration and determination of its rank"第68回日本統計学会講演予稿集. 45-47 (2000)
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[Publications] F.J.Hidalgo,矢島美寛: "On semiparametric estimation of a fractional difference parameter in the frequency domain"Proceedings of the international conference on complex systems. (3月統計数理研究所で開催。発表予定). (2001)
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[Publications] Tabuchi T.and A.Yoshida: "Urban Agglomeration Economies in Consumption and Production"Journal of Urban Economics. Vol.48. 70-84 (2000)
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[Publications] Tabuchi T.and D.-Z.Zeng: "Stability of spatial equilibrium"CIRJE Discussion Paper,University of Tokyo. 2000-CF-79. (2000)
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[Publications] Tabuchi T.,J.-F.Thisse and D.-Z.Zeng: "On the evolution of a multi-regional system"CIRJE Discussion Paper,University of Tokyo. 2000-CF-93. (2000)
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[Publications] Tabuchi T.: "On Interregional Price Differentials"Japanese Economic Review. (forthcoming). (2001)
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[Publications] Ottaviano G.,T.Tabuchi and J.-F.Thisse: "Agglomeration and trade revisited"International Economic Review. (Forthcoming). (2000)
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[Publications] 矢澤則彦,金本良嗣: "ヘドニック・アプローチによる住環境評価"住宅土地経済. No.36. 10-19 (2000)
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[Publications] 本多均,加藤浩徳,金相奉,金本良嗣: "空港整備事業の費用対効果分析"運輸政策研究. Vol.3,No.1. (2000)
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[Publications] 金本良嗣: "プロジェクト評価定着に向けての課題"エコノミックス. 3. 64-69 (2000)
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[Publications] 金本良嗣: "電子化と都市構造"『自動車交通研究 環境と政策 2000』日本交通政策研究会. 10-11 (2000)
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[Publications] Kanemoto,Y.: "Price and Quantity Competition among Heterogeneous Suppliers with Two-Part Pricing : applications to Clubs, Local Public Goods, Networks, and Growth Controls,"Regional Science and Urban Economics. 30. 587-608 (2000)
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[Publications] 田渕隆俊: "萩原清子 編『都市と居住』の第1章「都市の多様性と生産性の経済分析」"東京都立大学出版会. 11-38 (2000)