1998 Fiscal Year Annual Research Report
2次元量子固体の磁性における多体交換相互作用の理論的解明
Project/Area Number |
10203202
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久保 健 筑波大学, 物理学系, 教授 (30015862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃井 勉 筑波大学, 物理学系, 助手 (80292499)
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Keywords | 多体交換相互作用 / ^3He薄膜固体 / 磁化プラトー / カイラル相転移 / 三角格子 |
Research Abstract |
平成10年度は3角格子上の2、3および4体交換相互作用のあるスピン系について以下の研究が行われた。 1. 4体交換が強い領域における古典スピン系におけるカイラル相転移の臨界現象を調べる為に従来よりも大きな系のモンテカルロシミュレーションを行った。この結果系を大きくするとエネルギー・ヒストグラムに小さな構造が現れる事が見出され、この系の相転移が従来考えていた2次転移でなく1次転移である可能性が出てきた。この点についてはさらに、研究を続ける予定である。 2. 2体交換が強磁性的でそれほど強くない中間領域では零磁場では量子効果により非磁気的状態が実現していると考えられる。この場合強磁場下で磁化曲線に磁化に平坦な部分(1/2プラトー)が現れる事が我々によって示されていたが、さらに数値的対角化の方法によって、量子系におけるこの状態の性質を研究した。その結果この状態は先に我々が古典系で見出したuuud状態である事が確立した。またこの状態では並進対称性が破れ基底状態に4重の縮退が現れる事に対応して有限の温度でシャープな相転移が起こる事が古典系のモンテカルロ計算を用いて示された。このプラトーおよび相転移はヘリウム3薄膜において各々5〜10Tの磁場および数mKの温度で実現する可能性が高い事が示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Momoi, K.Kubo, K.Niki: "Possibility of a Chiral Phase Transition in 2D Solid ^3He" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181. 167-168 (1998)
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[Publications] K.Kubo, H.Sakamoto, T.Momoi, K.Niki: "A Possible Magnetic Phase with Scalar Chirality in Solid ^3He Layers" Journal of Low Temperature Physics. 111・3/4. 583-588 (1998)
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[Publications] T.Momoi, K.Kubo: "Ferromagnetism in the Hubbard model with orbital degeneracy in infinite dimensions" Physical Review B. 58・2. R567-R570 (1998)
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[Publications] T.Momoi, H.Sakamoto, K.Kubo: "Magnetization plateau in a two-dimensional multi-spin exchange model" Physical Review B. 60・2(未定). (1999)