1998 Fiscal Year Annual Research Report
低次元フェルミ粒子系における特異な液体状態の理論的研究
Project/Area Number |
10203206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60185501)
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Keywords | 低次元 / 朝永・ラッティンジャー液体 / 液体ヘリウム |
Research Abstract |
低次元とくに1次元という空間的制限のなかにおかれたフェルミ粒子系や液体ヘリウムの物理現象について、いくつかの問題について研究した。 1. フェルミ粒子を1次元に近い状況に閉じ込めた場合、擬1次元性を考慮しなければならない場合がある。擬1次元のモデルに対して摂動計算を発展させ、どのような特異な振舞いが現れるかについて調べた。 2. フェルミ粒子を考える時に、比較としてボース粒子であるヘリウム4の場合についても調べることは興味深い。実験的にも両者の比較ができる。そこで、ヘリウム間に強い短距離斥力が働くというモデルを用いて、物理量を具体的に計算する手法を見出した。今後は具体的にボース粒子系での、比熱・圧縮率・運動量分布・相関関数の巾乗則などを理論的に求めていく予定である。フェルミ粒子とボース粒子との違いがどのように現れるか興味深い。 3. ある種の1次元フェルミ粒子系では、スピンに関する励起にギャップが生じるという特異な振舞が期待される。そのような場合にグリーン関数のスペクトルやスピン・電荷応答関数などがどのように振舞うか調べた。とくにスピン電荷分離という現象が、通常の朝永・ラッティンジャー液体と異なった振舞いをすることを見出した。 4. 上記の計算のために、多粒子系の波動関数を発生させて、実験で測定される物理量を数値的に評価するというプログラムを開発した。 5. 今後は短距離斥力だけでなく長距離の斥力の効果が、今までの結果にどのように影響するかなど、実験との比較が容易になるような理論を発展させることを考えている。
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Research Products
(1 results)