2000 Fiscal Year Annual Research Report
低次元フェルミ粒子系における特異な液体状態の理論的研究
Project/Area Number |
10203206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60185501)
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Keywords | 1次元フェルミ粒子系 / 朝永・ラッティンジャー液体 / 電荷密度波 / フラストレーション |
Research Abstract |
低次元とくに1次元2次元という空間的制限のなかにおかれたフェルミ粒子系や液体ヘリウムの物理現象について、いくつかの問題について研究した。 1.1次元フェルミ粒子系において電荷密度波とスピン密度波の共存という興味深い可能性があるが、これについて共存のメカニズム、温度依存性などを調べた。とくに繰り込み群を用いて、相図上で2種類の共存状態があり、クロスオーヴァーによる状態の温度変化があることがわかった。 2.低次元系でのヘリウムを考える際には、粒子間の強い相関が重要な役割を果たし、スピンと密度の分離が起こる。密度の自由度はハードコアの粒子として振舞い、スピンの自由度の方が磁性を担うと考えられる。このことを念頭に、2層ある場合の1次元フェルミ粒子系の基底状態を変分的な観点から調べ、2層目の密度に依存していくつかの興味ある状態が実現することを見出した。 3.さらに、1次元フェルミ粒子系が2重になった場合の特異な現象の1つとして、フラストレーションの効果による密度波の融解という可能性を調べた。1重の場合に密度波が生じる場合でも、2重の場合には斥力相互作用のフラストレーションが生じることがある。この場合、斥力相互作用の大きさによっては、2層の間にself-dopingが起こって、粒子密度が変化した状態が基底状態になり、密度波が融解するという現象を見出した。 4.擬1次元的なフェルミ粒子系では、ストライプ状態と呼ばれる電荷が縞状に局在して、スピン自由度の部分と1次元流体の部分とに分かれる可能性がある。これについてt-Jモデルを用いて調べた。
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