1998 Fiscal Year Annual Research Report
半導体界面の2次元電子素における磁性と金属・絶縁体転移
Project/Area Number |
10203210
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岡本 徹 学習院大学, 理学部, 助手 (60245371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川路 紳治 学習院大学, 理学部, 教授 (00080440)
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Keywords | 2次元電子系 / 金属・絶縁体転移 |
Research Abstract |
1. 現有の設備を用いて、高移動度シリコン2次元電子系の金属領域での測定を行った.すでに、いくつかの重要な知見が得られている(投稿中および投稿準備中).列挙すると、(1)シュブニコフ・ドハース振動から得られたスピン帯磁率は、ヘリウム3の系と同様に、粒子同士の相関が大きくなるとともに増大する.(2)平行磁場下での正の磁気抵抗は、2次元電子のスピン偏極率の関数として表すことができる.(3)2次元面を貫く磁束に対する振動は、上向きスピンを持つ電子の密度に支配されている.(4)金属・絶縁体転移点の近傍の領域において、磁気抵抗効果の振る舞いが急激に変化することはなく、電子濃度の変化に対して滑らかである.(5)金属相における温度低下に伴う抵抗減少は、電子相関が強ければ、2次元系の抵抗が臨界抵抗と比べて2桁近く小さくても見られる、などである.現在、絶縁体相および金属相での磁気抵抗の振る舞いを統一的に理解するためのモデルを探索しているが、スピンに代表される2次元電子の内部自由度が本質的であると考えている. 2. 一方、本年度の設備備品で購入した主なものは、9テスラ超伝導マグネットシステム、半導体試料作製に用いる蒸着装置である.超伝導マグネットシステムは、平成11年1月に、蒸着装置は2月に納入済みであり、セットアップ、試運転を行い、来年度以降(〜平成12年度)の研究に用いる.様々な半導体2次元試料を作製し、磁気抵抗の測定を行う予定である.
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