1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10204204
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
藤井 理行 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (20125214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 公隆 北海道大, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
東 久美子 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (80202620)
本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20210099)
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 教授 (70135507)
渡邉 興亞 国立極地研究所, 研究系, 教授 (60111861)
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Keywords | 酸素同位体 / 古気候 / 氷床コア / コア一年代 / ドームふじ / 南極 / ダスト / 生物起源物質 |
Research Abstract |
i. 気候変動研究の基礎情報の提案 気候変動の最も基本情報である気温の指標である酸素同位体組成を、質量分析計を用いて解析した。解析の時間分解能は、50年から100年である。現在の気温と酸素同位体組成との関係から、気温への変換も行った。この解析結果から、3回の氷期サイクルの気候変動の詳細が明かとなった。また、現在の気温と降水量の関係から、過去の降水量変動を復元するとともに、グリーンランド氷床コアのモデルを適応しコアの年代も推定した。この結果、コアは過去34万年をカバーすることが明かとなった。 ii. 陸起源物質の解析 陸域起源のダストと火山起源物質についても基本的解析を進めた。ダスト濃度をレーザーパーティクルカウンターにより直径0.5μm以上の粒子について測定した。測定数は約700サンプルである。この結果、ダスト濃度は氷期に、それも氷期の寒冷期に増大することが明かとなり、氷期に海面低下に伴う大陸棚の露出によりダストが増大したことが考えられる。また、サブミクロンの粒子は逆に温暖期に増大するという結果も得られつつある。火山灰層は約70見い出し、その給源火山を特定するため3つの層について化学主成分組成を解析した。その結果、分析した3つの火山灰層は南極あるいはその周辺の火山を給源としていることが明かとなった。 iii. 生物起源物質の解析 表面の積雪サンプルを用いてガスクロマトグラフィー・質量分析計による微量有機成分の測定法の検討を行った。その結果、150-500グラムの試料があれば、炭素数2から10の低分子カルボン酸および炭素数12から30の脂肪酸など有機化合物の測定が可能であることがわかった。この分析手法をコア試料に適用したところ、不飽和脂肪酸とその光化学酸化生成物であるアゼライン酸が存在することが明らかになった。現在、有機物を用いた大気酸化能力の復元の可能性を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kohno,M.et.al: "Evaluation of SO2 emission from the 1982 cruption of EI Chichon by glaciological and satellite methods." Antarctic Record. 42. 121-130 (1998)
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[Publications] Fujii,Y.and Watanabe,O.: "Global climate change and deep ice core drilling at Dome Fuji,Antarclica." Korean Journal of Polar Research. 8. 155-162 (1998)
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[Publications] Aoki,S.et al.: "PRELIMINARY INVESTIGATION OF PALAEOCLIMATE SIGNALS RECORDED IN THE ICECORE FROM DOME FUJI STATION,EAST DRONNING MAUD LAND,ANTARCTICA." Annalsof Glaciology. 27. (1998)