1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10206204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小穴 英廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20314172)
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Keywords | 熱力学パラメータ / コイル-グロビュール転移 / メゾスコピック / 単一分子鎖 / 折り畳み転移 / 長鎖DNA / 転移エントロピー / 凝縮転移 |
Research Abstract |
本年度は単一高分子鎖の凝縮転移に関する統計力学的描像(平衡論)を確立することを大きな目標とした。具体的には、顕微鏡ステージ上±1^0の精度で温度を制御するシステムを新たに製作した。この装置を用いて単一DNA分子鎖の構造転移を計測した。その結果、3価カチオン(スペルミジン)存在下では温度上昇に伴い、折り畳み転移が生じることを見い出した。これに対して、水溶性高分子であるPEG中では、温度上昇に伴い折り畳み構造がほぐれ、コイル状態へ転移することを明かにした。このようにして、単一分子鎖の折り畳み転移の熱力学的パラメータを求めることに成功した。温度依存性の機構については、現在のところ次のように考えている。3価カチオンの存在下では、折り畳み転移に伴い、3価カチオンと1価カチオンがイオン交換を行うと考えられる。これは、折り畳まれた状態は、高エントロピーとなっていることを意味しており、今回の実験結果とよく対応している。またPEG中では、折り畳み転移に伴い、1価カチオンのDNAへの結合量が増大すると考えられ、高温側ではよりエントロピーの高いコイル状態へ転移にすることから、実験結果を説明することができる。一方、水溶性の誘導率は温度の1.4乗にスケールすることが知られている。このことはイオンの並進エントロピー変化にも、温度依存性をもたらしていることを示唆している。このような、温度に依存したエントロピー変化が、折り畳み相転移にどのように関与しているのかを明らかにすることは、今後に残された重要な課題である。又、イオンの種類を変化されたときの、折り畳み転移に対する影響も研究が進行中である。
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[Publications] K. Yoshikawa: "A Working Hypothesis on the Mechanism of Molecular Machinery"Chem. Phys. Lett. 303. 10-14 (1999)
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[Publications] I. Motoike: "Information Operations with an Excitable Field"Phys. Rev.. E59. 5354-5360 (1999)
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[Publications] D. Horvath: "Electric Field Induced Lateral Instability in a Simple Autocatalytic Front"J. Chem. Phys.. 111. 10-13 (1999)
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[Publications] H. Murayama: "Thermodynamics of the Collapsing Phase Transition in a Single Duplex DNA Molecule"J. Phys. Chem.. B103. 10517-10523 (1999)
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[Publications] Y. Matsuzawa: "Laser Trapping of an Individual DNA Molecule Folded Using Various Condensing Agents"J. Am. Chem. Soc.. 121. 11581-11582 (1999)
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[Publications] Yu. S. Velichko: "Effect of Twisting on the Behavior of a Double-Stranded Polymer Chain : A Monte Carlo Simulation"J. Chem. Phys.. 111. 9424-9433 (1999)
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[Publications] K. Tsumoto: "RNA Switches the Higher-Order Structure of DNA Sulfate"Biophys.. 82. 1-8 (1999)
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[Publications] N. Makita: "ATP/ADP Switches the Higher-Order Structure of DNA in the Presence of Spermidine"FEBS Lett.. 460. 333-337 (1999)