2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10206209
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
本間 健二 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (30150288)
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Keywords | クラスター / 電荷移動反応 / エレクトロスプレー |
Research Abstract |
(1)9,9'-ビアントラセン(BA)の電子励起状態からの電荷移動反応をアセトニトリル(ACN)との気相クラスターにおいて研究した。質量を選別した2光子イオン化スペクトルにより、溶媒分子数を選別したクラスターの吸収帯を決定し、その吸収帯を選択的に光励起する事で、(BA-(ACN)_n)の励起状態を生成した。それに引き続く電荷移動状態(CT)の生成を発光スペクトル・発光寿命により検出し、溶媒分子数(n)との関係を明らかにした。その結果、ACNは1分子付着しただけでCT状態を安定化し、電荷移動反応を誘起するが、2分子〜4分子はCT状態の安定化をほとんど起こさなず、生成されるCT状態はBA-(ACN)_1と変化ないことが明らかになった。更に、5分子以降は再びCT状態の安定化を促し、生成する電子状態も電荷移動性の強いものとなることも示唆された。 (2)通常の加熱-蒸発法では気相に取り出すことのできない分子・イオンを気相中で観測するために、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)とレーザー誘起ケイ光法とを結合し、タンパク質分子に適用した。酸変性させたチトクロームc溶液をESIし、レーザー励起によってトリプトファン残基の発光を観測した。ESIによって溶媒分子が脱離していくと共にチトクロームcの構造変化が起こり、トリプトファンの発光が強くなることが見出された。更に、ESIした試料を真空中に導き、質量分析計と併用することで、溶媒分子数・電荷状態を選別して発光スペクトルをとる装置の準備を始めた。
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