1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10207201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 〓 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50134838)
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Keywords | レーザー補足 / 単一液滴 / 顕微分光 / ピコ秒ダイナミクス / サイズ依存性 / 界面電子移動 / 界面物質移動 / マイクロフローセル |
Research Abstract |
単一微粒子のレーザー捕捉・顕微分光・電気化学測定法を駆使して、単一液滴の反応や現象のサイズ依存性を探索するとともに、その原因の解明を目的として研究を行った。 まず、単一液滴/水界面を経由した電子移動反応と物質移動過程を検討したところ、液滴半径が5マイクロメートル以下になると界面電子移動速度の低下や界面吸着速度の増大など、液滴の表面積/体積比では説明することの出来ない新たな液滴サイズ依存性が見い出された。詳細な研究から、界面電子移動の場合には液滴/水界面層の厚みが、また界面物質移動の場合には液滴/水界面の熱的ゆらぎ構造が液滴サイズ依存性の原因であることが明らかにされた。また、油相中の水滴中における色素の分子間会合についてもサイズ依存性が現われる。色素としてMalachite Green(MG)を用いた場合には、水滴サイズの減少に伴いMGの二量体形成が促進された。MGは比較的に界面活性であることから、水滴サイズの減少に伴う水滴の表面積/体積比の増大を反映して、水滴/溶液界面における二量体形成が起こりやすくなるものと考えられる。事実、界面吸着による二量体形成のモデルに基づいて水滴サイズ依存性をシミュレートしたところ満足のできるフィッテングが得られ、液滴の表面積/体積の比がサイズ依存性の一つの原因となり得ることが証明された。また、単一油滴中の色素の蛍光寿命にも油滴サイズ依存性が現われることを明らかにした。Rhodamine B(RhB)を溶解させたシリコンオイル油滴を一粒毎に顕微ピコ秒分光を行ったところ、油滴直径が10マイクロメートル以下になるとRhBの蛍光寿命が急激に短くなった。その原因は未だ明らかでは無いが、油滴中におけるRhBの励起エネルギー移動が関与しているものと推察される。今後綿密に検討していく予定である。この他、単一油滴における自励発振とそのサイズ依存性も見い出している。 様々な系における液滴の反応・現象のサイズ依存性を探索・解明し、微小領域における化学の特徴を明らかにする予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 中谷 清治: "Intrinsic Droplet Size Effect on Mass Transfer across a Single-Microdroplet/Water Interface: Role of Adsorption on a Spherical Liquid/Liquid Boundary" Journal of Physical Chemistry B. 102(8). 2908-2013 (1998)
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[Publications] 金 幸夫: "Direct Excitation Energy Transfer as a Technique for in Situ Measurements of Ion-Exchange Processes in Single Polymer Particles." Analytical Chemistry. 70(1). 105-110 (1998)
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[Publications] 金 幸夫: "Effects of Sample Dimension and Dye Distribution Characteristics in Absorption Microspectroscopy." Analytical Chemistry. 70(1). 51-57 (1998)
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[Publications] 喜多村 〓: "Optical Transformation and Fission of Single Giant Vesicles in Water by Radiation Pressure." Journal of American Chemical Society. 120(8). 1942-1943 (1998)
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[Publications] 金 幸夫: "Microspectroscopic Analyses of Dye Distribution Characteristics in Single Microcapsules." Analytical Chemistry. 70(1). 111-116 (1998)
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[Publications] 近間 克己: "Characteristic Behavior of an Electron Transfer Reaction across a Tributyl Phosphate Droplet/Water Interface: Micrometer Droplet-Size Effect." Bulletin of Chemical Society Japan. 71(5). 1065-1070 (1998)
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[Publications] 中谷 清治: "Advances in Photochemistry" John-Wiley & Sons.Inc., 50 (1999)
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[Publications] 喜多村 〓: "Mesoscopic Chemistry" Blackwell Science, 25 (1999)