2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10208214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香月 勗 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40037271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 昌彦 山口大学, 理学部, 助教授 (60192704)
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50214680)
宮下 正昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50006326)
松村 功啓 長崎大学, 薬学部, 教授 (60026309)
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Keywords | 動的立体化学制御 / サレン金属錯体 / エントロピー制御 / 鎖状立体制御 / 分子状酸素酸化 / グルカール / 電極反応 / 不斉記憶 |
Research Abstract |
分子間相互作用の動的な観点からの理解とその利用は、従来法と異なった新規反応の開発に不可欠である。今年度も分子間相互作用と立体化学制御について研究を行い、以下の成果を得た。 1)これまで金属錯体触媒の多くは立体反撥などのようにエンタルピーに関連する因子を考慮して設計がなされてきた。しかし、適切な構造をもつ触媒ではエントロピーに関連する要因が反応の立体化学制御に大きく関わることを明らかにすることができた。またこれにより、触媒の構造と至適基質の間の関係も明らかにすることができた。これらの研究と並行して、新規サレンマンガン錯体を用いるスルフィド類のイミド化を検討し、高エナンチオ選択性を達成することができた(香月、伊藤、入江) 2)各種ルイス酸の特性を活用し、エポキシドの立体特異的かつ高位置選択的な開環反応を開発した。これらの手法を駆使して多連続不斉中心の立体制御法とさまざまな官能基の導入法を確立して鎖状分子の一般的な構築法へと展開した。これと並行して、鎖状化合物の立体選択的なエポキシ化法の開発も行った。またこれらの反応を鍵反応として生理活性物質の全合成も達成した(宮下) 3)外部不斉源を用いないα-アミノ酸誘導体の不斉α-アルキル化を前年度に引き続き検討し、MOMとBocを同時にアミノ基の保護基として用いたときに、エノラートの動的不斉制御に基づく高度な不斉記憶が達成されることが見出された。また、エノラートの不斉制御に基づく不斉誘導は1,2-不斉誘導に優ることも確認された。(川端)。 4)遷移金属触媒を利用して、キラルビルディングブロックとして有用なグルカールのさまざまな立体選択的官能基化を達成した。(林) 5)川端・冨士らにより報告されているエノラートイオンの不斉記憶現象が、電極という特殊な反応場を利用することによりアシルイミニウムイオンのようなカチオン性中間体を経る反応でも起こることが見出された。(2S)-pipecolinic acid誘導体をMeOH中で白金陽極を用いて電極酸化すると58%の不斉記憶が観測される。(松村)
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tomohiro Nishida: "Enthalpy- and/or Entropy-Controlled Asymmetric Oxidation : Stereocontrolling Factors in Mn-Salen Catalyzed Oxidation"Tetrahedron Letter. 41・36. 7041-7045 (2000)
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[Publications] Ryo Irie: "Asymmetric Aerobic Oxidative Coupling of 2-Naphthol Derivatives Catalyzed by Photo-Activated Chiral (NO)Ru(II)-Salen Complex"Synlett. 2000・10. 1433-1436 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Hayakawa: "An efficient and stereoselective construction of the C(9)-C(17) dihydropyran segment of swinholides A-C via a novel reductive cleavage of an epoxy aldehyde"Tetrahedron Letter. 41・5. 707-711 (2000)
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[Publications] Takeo Kawabata: "A Chiral Nonracemic Enolate with Dynamic Axial Chirality : Direct Asymmetric α-Methylation of α-Amino Acid Derivatives"Angewandt Chemie, International Edition in English. 39・12. 2155-2157 (2000)
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[Publications] Yoshihiro Matsumura: "First example of Memory of Chirality in Carbenium Ion Chemistrry"Organic Lettetrs. 2・12. 1689-1691 (2000)
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[Publications] Masahiko Hayashi: "Catalytic Hydrogen Transfer Reaction of Benzylic and Allylic Alcohols with Palladium Compound in the Presence of Vinyl Acetate or under Ethylene Atmosphere."Journal of the Chemical Society, Perkin 1. 2000・10. 1501-1503 (2000)
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[Publications] 宮下正昭: "立体選択的なポリオール類の合成法"現代化学・増刊36 生物活性天然物の合成 複雑な構造をいかにして構築するか""東京化学同人. 32-46 (1999)
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[Publications] Tsutomu Katsuki: "Oxidation (hydroxylation and acyloxylation) via C-H bond activation In "Radicals in Organic Synthesis""Wiley-VCH. 113-126 (2001)