1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10211207
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾添 紘之 九州大学, 機能物質科学研究所 (10033242)
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Keywords | 磁気対流 / 磁化力 / ローレンツ力 / チョクラルスキー法 / 横磁場 / 片流れ |
Research Abstract |
鉄鋼の連鋳プロセスにおけるモールド内対流の流動制御とか、単結晶成長におけるルツボ内融液対流の磁場印加対流制御などの磁場利用プロセスは、鉄鋼の高品位化や、単結晶の高純度化をめざして今後益々多用化される機運にある。しかし、これらの利用形態は従来、試行錯誤的で、理論的裏付けが不十分にみえる。本研究では、各種磁場対流現象と動作流体の流動現象の定量把握とその制御を試みる。現在、電子集積回路の基板材料のほとんどは、シリコン単結晶で作製され、その良否が電子回路の最終歩留まりを大きく左右すると言われている。チョクラルスキー結晶成長法は、原料多結晶シリコンをルツボ内で融解し、液表面に種結晶を浸し、放射冷却をしながら、単結晶として、大きく成長させるもので、多分に職人的技巧を必要とする技術である。また原料シリコン融液は、熱良導体でありながら、低粘度である低プラントル数流体で、本質的に振動対流をなすことが知られている。そのため、成長単結晶中に成長縞と呼ばれる結晶構造や不純物濃度などの不均一部分が内蔵され、その後の製造過程において、種々の不都合を与えている。そこで、この原因となる原料融液の熱流動状況の把握と制御ということが重要なテーマとなる。ここでは、まず、シリコン融液がルツボ内で片流れと振動を生じることの数値シミュレーションができたので、報告する。 系は、高さH、直径HR=1.25H、結晶棒直径0.625Hでルツボは高温に加熱され、結晶棒は低温に保たれ自由表面からは輻射冷却されるものとする。融液の非定常三次元流動は保存方程式でモデル化される。流体はインジウムアンチモン(InSb)の融液である。計算の結果、軸対称な境界条件を持つ円筒容器内の自然対流が、周方向位置に依存して異なる挙動を示した。これは従来ほとんど報告された試しがない。詳細にみると円筒容器内に一つの大きなロールが存在している。これは本系のようなPr=0.0374という低プラントル数流体に特徴的な円形断面ロールが安定に存在するという従来の説に合致するもので、高プラントル数流体とは異なる流動特性結果である。 さらに本系に、水平方向に一様な磁場が印加された場合を次に考えた。等温線は軸対称な境界条件にも拘わらず、楕円型断面となっており、深さ方向にほぼ変わりがない。また流れは磁場に直交する断面から液面に流れがあふれて、磁場に平行な断面に液が流下している。底部近くではこれが逆転している。これは極めて特異な熱流動状況を表す計算結果で従来、報告されたことがないものである。 磁化力対流については、従来までほとんど報告のないもので、本年度においては、数学モデル式の導出を鋭意努力中であり、来年度以降に本対流については、理論解析および実験検討を予定している。本年度は直流電磁石を購入し、実験装置の設計を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Akamatsu,K.Kakimoto,and H.Ozoe: "Numerical calculation of natural and mixed convection in a Czochraiski crucible under transverse magnetic fields" Heat Transfer 1998.Proc.of 11th IHTC. 3. 239-244 (1998)
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[Publications] M.Akamatsu,H.Ozoe,K.Kakimoto,and T.Fukuda: "One-side natural and mixed convection computed for liquid metal in a Czochralski configuration" Proc.5th ASME/JSME Joint Thermal Eng.Conf.AJTE99-6463 (1999)