2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しいホスホリパーゼDのクローニングと新機能の探索
Project/Area Number |
10212201
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
立井 一明 群馬大学, 医学部, 講師 (00192633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 博之 群馬大学, 医学部, 助教授 (00235897)
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Keywords | ホスホリパーゼD / ホスファチジン酸 / リパーゼ / 脂質 / 胚発生 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
ホスホリパーゼD(PLD)は種々のアゴニスト刺激により活性化され、ホスファチジルコリンから脂質性シグナル分子、ホスファチジン酸を生成する。本研究第1期においてホスファチジン酸はリゾホスホリパーゼの重要な調節因子であることが明らかになった。まだ分子機構は不明であるがホスファチジン酸は細胞内セカンドメッセンジャーとして細胞増殖、小胞輸送、細胞骨格の再編など一連の細胞応答に関わると考えられている。我々は発生とPLDとの関連を検討する目的で、ショウジョウバエのPLD遺伝子を単離・解析している。 ショウジョウバエPLD(DPLD)のcDNAをCOS7細胞で発現させると、PLD活性が検出された。活性はショウジョウバエのARF(ADP-ribosylation factor)であるDARFIを加えることで上昇した。また、クラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を培養細胞で発現させ、哺乳動物のPLD1およびPLD2と細胞内分布を比較した。DPLDは、細胞内分布および試験管内でのARFに対する感受性の結果からPLD2型であると考えられた。 ショウジョウバエのいろいろな発生段階からRNAを抽出してDPLD遺伝子に特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行なったところ、胚発生初期の一時期でDPLD mRNAが検出されなかった。in situ hybridizationの結果も同様で、Dp1dのmRNAは細胞性胞胚期から原腸胚の一時期に検出されなかった。一方、ショウジョウバエの各発生段階から膜画分を調製して発生に伴うPLD活性の変動を調べたところ、幼虫、蛹、成虫でPLD活性が検出されたが、産卵後6-9時間の胚発生初期にPLD活性の検出されない時期があった。以上の事から、胚発生の一時期にPLD活性が低下することが重要である可能性が示唆された。
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