2000 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA2ファミリーのメンバーの新しい機能
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10212205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東城 博雅 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90135707)
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / リパーゼ / ホスホリパーゼB / リン脂質 / ホスファチジン酸 / リゾビスホスファチジン酸 |
Research Abstract |
(1)ホスホリパーゼB/リパーゼ(PLB/LIP):膵外分泌不全モデルラットWBN/Kobを用いて、膵臓リパーゼ・PLA2分泌不全時における小腸刷子縁膜結合型PLB/LIPの脂質消化における役割について検討した。PLB/LIPのPLA2活性は、WBN/Kobラット消化管(腸液と粘膜)PLA2活性の半分以上を占め、膵外分泌不全時において膵PLA2の機能を代償することがわかった。PLB/LIPのヒト精子における局在部位とアクロゾーム反応における役割を解析中である。消化と受精におけるPLB/LIPの役割をさらに詳しく解析するために、PLB/LIPのノックアウトマウスを作成を進めている。マウスPLB/LIPのcDNAをクローニングしその配列情報をもとにBacクローンをスクリーニングしてBacDNAを得た。BacDNAからノックアウトに必要な断片をサブクローニングした。 (2)ラット精巣ホスファチジン酸(PA)特異的PLA2(PA-PLA2):PA-PLA2の約10種のトリプシン切断ペプチドの部分一次構造解析からPA-PLA2は、新しいタイプのPLA2であることがわかった。このペプチドシークエンスを超微量解析するために、キャピラリー高速液体クロマトグラフィー/イオントラップ質量分析システム(LC/ESI/MS)を改良した。PA-PLA2は、酸性領域でPAを分解するため、エンドゾーム特異的脂質リゾビスホスファチジン酸(LBPA)の分解活性を検討した。LBPAは、クロマトグラフィー支持体による触媒作用によりアシル基が容易に2,3-転位してその構造が変化してしまうためTLCやHPLC等の方法では精製できない。この問題を回避するため、肝臓粗リソソームから抽出した全脂質を大過剰量の膵型PLA2で処理してほとんどのジアシルリン脂質を1-アシルリゾリン脂質に変換した。膵型PLA2はLBPAを分解しないためLBPAは残存する。PA-PLA2は1-アシルリゾリン脂質に作用しないので、これを精製せずそのまま基質として用い、反応産物を蛍光ラベル化脂肪酸分析とLC/ESI/MSで高感度に測定し、LBPA分解活性をアッセイする方法を開発した。この方法により、PA-PLA2はPAと同程度の比活性でLBPAも分解することが分かった。
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[Publications] Urbain Tchoua: "Increased intestinal phospholipase A_2 activity catalyzed by phospholipase B/lipase in WBN/Kob rats with pancreatic insufficiency"Biochim.Biophys.Acta. 1487. 255-267 (2000)
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[Publications] Ting Lu: "Identification of Essential Residues for Catalysis of Rat Intestinal Phospholipase B/Lipase"Biochemistry. (印刷中).