1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10214202
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 泰治 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60094364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (70212462)
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Keywords | アトスロサイト / ニューロン / シナプス形成 / 神経情報伝達 / 部位特異性 / ギャップジャンクション / カルシウムイオン / 細胞内濃度 |
Research Abstract |
【研究目的】 中枢神経系においてアストロサイトは、ニューロン機能の発現や維持に重要な役割を果たしている。アストロサイトとの共培養下にあるニューロンには、自発的で周期的な細胞内カルシウムイオン濃度の変動が認められ、シナプス形成の進行とともに、多数のニューロンのカルシウムイオン濃度変動が同期するようになる。一般的には、その濃度変動の頻度は活動しているシナプス数と相関すると考えられている。そこで、本年度は「研究計画」の実施の基礎となるニューロン・アスト口サイト共培養系を用いて、両細胞の細胞間交通にあずかるギャップジャンクション(GJ)に注目し、その阻害に基づくシナプス機能の変化を観察することより、アストロサイトの神経伝達に果たす役割を検討した。【研究方法および結果】 実験には、GJ阻害剤としてオクタノール、ハロセン、リンダンを用い、GJ阻害効果は「Scrape-load and dye transfer法」で確認した。また細胞内カルシウムイオン濃度の変動は蛍光指示薬(Fura2-AM)を共培養系に投与したのち蛍光カルシウムモニタリングシステムを用いて観察した。オクタノール、ハロセンは、ニューロンのカルシウムイオン濃度変動の振幅を濃度依存的に低下させた。この2つの薬剤はGJ阻害作用のほかに、イノシトール3リン酸(IP3)に依存した小胞体(ER)からのカルシウムイオン放出を抑制する作用も併せもつことから、対照として、GJ阻害作用をもたずIP3合成を阻害するU-73122を用いたところ、オクタノールやハロセンと同様に濃度依存的な振幅の低下が見られた。また、IP3合成を促進するリンダンは逆に振幅を上昇させた。一方、活動しているシナプス数を反映する細胞内カルシウムイオン濃度変動の頻度については、オクタノール、ハロセンが濃度依存的に頻度を低下させたが、GJ阻害作用をもたないU-73122は無効であった。以上の実験より、アストロサイト間あるいはニューロン・アストロサイト間に存在するGJを阻害すると、ニューロン内カルシウムイオン濃度変動の頻度は著しく低下し、さらに、その濃度変動の振幅にはIP3が関与することがわかった。この実験系を用いてアストロサイト機能の部位特異性を次年度以降に検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fuse,T: "Heat-induced apoptosis in human glioblastoma cell line A172." Neurosurgery. 42. 843-849 (1998)
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[Publications] Fujita,K.: "Astrocytic gap junction blockage and neuronal Ca^<2+> oscillations in neuron-astrocyte cocultures in vitro." Neurochem.Int.33. 41-49 (1998)
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[Publications] Hashimoto,Y.: "Critical role for the 3-10 Herix region of p57 in Cdk2 inhibition and growth suppression." J.Biol.Chem.273. 16544-16550 (1998)
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[Publications] Asai,K.: "Isolation of novel human cDNA (hGMF-gamma) homologous to glia maturation factor gene." Biochim Biophys Acta. 1396. 242-244 (1998)
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[Publications] Mizuno,H.: "Neurotrophic action of lipocortin 1 derived from astrocytes on cultured rat cortical neurons." Mol.Brain Res.60. 28-39 (1998)
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[Publications] Okada,Y.: "Celiac ganglionotropic invasion of pancreatic cancer cells bearing c-rat proto-oncogene with reference to GDNF." Int.J.Cancer. (in press).