1998 Fiscal Year Annual Research Report
グリア型グルタミン酸作用分子によるシナプス機能の調節
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10214206
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
和田 圭司 国立精神・神経センター, 神経研究疾病研究第4部, 部長 (70250222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 正幸 国立精神, 神経センター・神経研究疾病研究第4部, 室長 (80260339)
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Keywords | グルタミン酸 / 受容体 / トランスポーター / グリア / 脱感作 / けいれん / プラスミノーゲン / ATP |
Research Abstract |
本年度はまずアストロサイト-ミクログリア間のグリアネットワークにおけるグルタミン酸の役割について検討を加えた。アストロサイトをグルタミン酸で刺激するとATPを放出するという報告があり、一方、ATP刺激によりミクログリアからプラスミノーゲンが放出されることが報告されている。プラスミノーゲンはある条件下では神経損傷修復作用を有することが知られており、これら素過程がシステムとして機能すれば、神経細胞損傷修復を行いうるグリアネットワークが存在することとなる。ラット胎仔大脳皮質からアストロサイト・ミクログリアを別々に培養後、両者の共培養を調製、グルタミン酸添加でアストロサイトの活性化に遅れてミクログリア様の細胞も活性化されることを細胞内カルシウムイオン濃度の画像解析によりに見い出した。またAMPA受容体の新規アロステリックモジュレーターであるPEPAの薬理作用をパッチクランプ法にて検討し、PEPAがAMPA受容体の脱感作は強力に抑制するがDeactivationには殆ど作用しないことを見い出した。グリアAMPA受容体電流の終了が脱感作に規定される可能性が指摘されており、PEPAはアストロサイト上のAMPA受容体の生理的・病態生理的役割を解明するためのツールとして有用であると考えられる。さらに、小脳優位の発現を示すグリア型グルタミン酸トランスポー夕ーGLASTの遺伝子欠損マウスを作製し、GLAST欠損マウスが軽度の協調運動障害を示すことを見い出した。電気生理学的には登上線維のプルキンエ細胞への多重入力が成体でも残存してあり、病態生理的には急性外傷に対する小脳の防護力が低下していることが示された。また網膜においてはGLT-1よりもGLASTがグルタミン酸取り込みの主役を担っている可能性を示す結果を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Watase,K.et al.: "Motor discoordination and increased susceptibility to cerebellar injury in GLAST---" Eur.J.Nerurosci.10. 976-988 (1998)
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[Publications] Sekiguchi,M.et al.: "Pharmacological detection of AMPA receptor heterogeneity by use of two allosteric---" Br.J.Pharmacol.123. 1294-1303 (1998)
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[Publications] Harada,T.et al.: "Light-induced retinal degeneration suppresses developmental progression of flip---" J.Neurosci.18. 3336-3343 (1998)
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[Publications] Harada,T.et al.: "Functions of the two glutamate transporters GLAST and GLT-1 in the retina." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 4663-4666 (1998)
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[Publications] Inage,Y.W.et al.: "Expression of two glutamate transporters GLAST and EAAT4 in the human---" J.Neuropathol.Exp.Neurol.57. 554-562 (1998)