2001 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアのトランスポゾンISとTnの転移・制御機構とゲノム再編への関与
Project/Area Number |
10216202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 栄一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10158800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 助教授 (80222074)
大坪 久子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (20158801)
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Keywords | トランスポゾン / トランスポゼース / ゲノム再編 / 腸管出血性大腸菌O157 / 転移 / 挿入因子 / プラスミド / バクテリア |
Research Abstract |
トランスポゾンは、自身がコードするトランスポゼースの働きにより転移すると共に、遺伝子の再編を促し、ゲノムを改変する。本研究は、バクテリアの数多くのトランスポゾンにより構成される三つのファミリーの代表で、それぞれ異なる様式で転移する挿入因子IS3、IS1とアンピシリン耐性トランスポゾンTn3の切断・再結合による転移の機構を解明することを目的としたものである。IS3に関しては、前年度にIS3のトランスポゼースが、IS3を運ぶプラスミドにおいてIS3の末端逆向き配列IRの一方の端をもう一方の端から3塩基離れた部位とDNA鎖連結反応を起こすことを示したが、本年度において、in vitroで生ずるDNA鎖連結反応生成物の絶対量が測定できる系を確立し、IR末端、或いは、その内部領域に変異を持つIS3を基質とすることによって、IR内にトランスポゼース-IR複合体の形成に甚大な影響を与える領域と、複合体の形成には影響を与えないがDNA連結反応に甚大な影響を与える領域が存在することを明かにした。また、この複合体において片方のIRに結合したトランスポゼースが、その末端を切るのではなく、他方のIRの末端を切りDNA連結反応を促すことを明らかにした。IS1に関しては、IS1トランスポゼースの機能的ドメインの分子遺伝学的解析を行い、Mgイオンと錯体を作るアミノ酸モチーフDDEが重要であることを示した。このモチーフの存在は、IS3やTn3で知られていたがIS1では指摘されてはいなかったもので、本研究によってトランスポゾンに共通のモチーフが転移反応に重要であることを示した。また、我々は最近、腸管出血性大腸菌0157のゲノムの全塩基配列を明らかにし、種々様々なISの存在を示したが、大腸菌におけるゲノム再編による病原遺伝子の獲得機構、及び、病原性大腸菌の起源を明らかにする目的で、病理学的に分類されている4つの異なる病原性大腸菌の各群から10系統を解析したところ、これらの系統は大きく3つのグループに分けられること、しかし、病理的性質とは相関しない場合が多いことから、病原性遺伝子が大腸菌間で水平伝播されていると結論した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shiga, Y.: "The involvement of H-NS in transpositional recombination mediated by IS1"J. Bacteriol.. 183. 2476-2484 (2001)
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[Publications] Noma, K.: "A new class of LINEs (ATLN-L) from Arabidopsis thaliana with extraordinary structural features"DNA Res.. 8. 291-299 (2000)
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[Publications] Hayashi, T.: "Genome sequence and comparative analysis of enterohemorrhagic E. coli O157 : H7"DNA Res.. 8. 11-22 (2001)
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[Publications] Hayashi, T.: "Genome sequence and comparative analysis of enterohemorrhagic E. coli O157 : H7 (Supplement)"DNA Res.. 8. 47-52 (2001)
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[Publications] Kumekawa, N.: "A new gypsy-type retrotransposon RIRE7 : preferential insertion into the tandem repeat sequence TrsD in pericentromic heterochromatin regions of rice chromosomes"Mol. Gen. Genet.. 265. 480-488 (2001)
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[Publications] Myouga, F.: "Identification and structural analysis of SINE elements in the Arabidopsis thaliana genome"Genes Genet. Syst.. 76. 169-179 (2001)
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[Publications] Han et al.: "Structural and functional characterization of IS679 and IS66-family elements. :"J. Bacteriol.. 183. 4296-4304 (2001)
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[Publications] Takami et al.: "Identification ad distribution of new insertion sequences in the genome of alkaliphilic Bacillus halodurans C-125. : (2001)"J. Bacteriol.. 183. 4345-4356 (2001)