2000 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母VDEエンドヌクレアーゼによる遺伝子ホーミングの研究
Project/Area Number |
10216203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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Keywords | 出芽酵母 / 遺伝子ホーミング / VDE / 減数分裂 / DNA切断 / 核移行 |
Research Abstract |
出芽酵母のVDEホーミングエンドヌクレアーゼは、減数分裂時に自己が挿入されていないVMA1遺伝子(VMA1(Δ))の、挿入されるべき箇所を認識して切断する活性を持っている。ホーミングエンドヌクレアーゼによるDNA切断後、VDE遺伝子が挿入されているVMA1遺伝子(VMA1(+))を鋳型にして切断修復が行われた結果、切断された箇所にVDE遺伝子が挿入されることによって自己伝播する。今年度は、VDEエンドヌクレアーゼによる遺伝子ホーミングが減数分裂特異的に起きることに注目し、以下に述べる顕著な成果を上げた。VDEは減数分裂時及び体細胞分裂時にいずれも発現しているが、興味深いことにVDEによる遺伝子ホーミングは減数分裂の時のみ起きることが知られている。その原因について解析を進めたところ、VDBの細胞内局在の変化が関係していることが明らかになった。まず、体細胞分裂時にはVDEは主に細胞質に存在していて核から排除されていたが、減数分裂時には核を含む細胞全体に一様に存在していた。次に、SV40の核局在化シグナルを付加した変異VDEは、体細胞分裂時にも核内に多量に蓄積するようになった。最後に、この変異VDEを発現させた株では体細胞分裂時にも顕著に遺伝子ホーミングがおきるようになり、減数分裂を経るとその頻度はさらに上昇した。以上の結果から、VDBの核-細胞質間の局在変化が、減数分裂時特異的に遺伝子ホーミングがおきる少なくとも一因になっていることが明らかになった。
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