2001 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内反応系を用いた高等真核細胞でのDNA鎖切断再結合反応の解析
Project/Area Number |
10216206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立花 章 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (20188262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 剛 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (90163948)
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Keywords | DNA再結合反応 / ブルーム症候群 / 染色体不安定性 / RecQヘリカーゼ |
Research Abstract |
大腸菌RecQヘリケースのヒトホモログの1つであるBLM遺伝子に欠損を持つブルーム症候群(BS)患者由来細胞の試験管内DNA切断再結合について解析したBS細胞は一般に培養がきわめて困難であるため、これまで比較的増殖が良好なリンパ芽球様細胞を用いて検討を行ってきた。しかし、リンパ芽球様細胞では再結合反応の効率が低いこと、また1種類の細胞株だけでなく、他の細胞株でも再現性を検討する必要があることから、初代繊維芽細胞を用いた検討を試みた。細胞の増殖はかなり困難であったが、抽出液を得ることに成功し、これを用いてDNA2本鎖切断の試験管内再結合反応を検討した。再結合反応の効率に関しては、BS細胞は正常細胞と殆ど同程度であった。一方、BS細胞の再結含の誤りの頻度は正常細胞の約2倍であり、BS細胞では再結合の正確度は正常細胞よりも低下していることが明らかになった。正常細胞の誤った再結合部位に見られる数塩基のdirect repeatが、BS細胞では見られない場合が多かった。また、正常細胞では切断点から少なくとも数塩基離れた部位で再結合をしていたが、BS細胞では一方の切断点が直接再結合している場合が多かった。このような再結合部位の塩基配列の特徴は、リンパ芽球様細胞で以前得られた結果と一致するものであり、BS細胞の特徴であると考えられる。 BLMは、単純なヘリケースではなく、複雑なDNA構造を認識してそれを巻き戻す活性がある。切断結合点の特徴から、恐らくエンドジョイニング反応の初期に形成される異常なDNA構造に対してBLMヘリケースが作用し、解離を行っているのではないかと考えられる。BLMは、その特異なヘリケース活性により相同組み換えのみならずエンドジョイニングにも関与し、欠損疾患にみられる染色体不安定性を引き起こしているものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tachibana, A., Tatsumi, K., Furuno-Fukushi, I., Sasaki, M.S.: "High frequency of deletions at the hypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase locus in an ataxia-telangiectasia lymphoblastoid cell line irradiated with γ-rays"Japanese Journal of Cancer Research. 92(11). 1190-1196 (2001)
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[Publications] Takahashi, A., Ohnishi, K., Asakawa, I., Kondo, N., Nakagawa, H., Yonezawa, M., Tachibana, A., Matsumoto, H., Ohnishi, T.: "Radiation response of apoptosis in C57BL/6N mouse spleen after whole-body irradiation"International Journal of Radiation Biology. 77(9). 939-945 (2001)