2002 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のDNA型転移調節因子の転移機構と遺伝子発現調節
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10216208
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
飯田 滋 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30012777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 理枝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (30137799)
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Keywords | アサガオ / マルバアサガオ / イネ / 易変性変異 / トランスポゾン / 自然突然変異 / 遺伝子発現調節 / 遺伝子ターゲティング |
Research Abstract |
現存するアサガオの多様な変異体は全て自然突然変異体で、その大部分が我々が単離したEn/Spm系のTpn1類縁の非自律性転移調節因子の挿入による変異であることを明らかにしてきた。我々はまたアントシアニンの生合成に関わる酵素群の一つアントシアニジン合成酵素(ANS)遺伝子内にTpn1類縁因子、Tpn8もしくはTpn9、が挿入した8つ変異系統のゲノム構造を解析し、2種類のANS遺伝子の挿入変異に分けられることを明らかにした。Tpn9が2つのエキソンから成るANS遺伝子のイントロン内に挿入した1系統は、白色地にTpn9の体細胞脱離による有色のキメラ斑の花を咲かる。この変異体のANS遺伝子の転写は挿入Tpn9因子内部で終結していた。残りの7系統の変異体は全てTpn8がANS遺伝子のプロモーター領域の同一部位に挿入しており、そのためANS遺伝子の発現が抑制されていた。しかしながら、これら7変異系統の花色は純白色の系統から花弁全体に薄い着色が観察される系統まで様々で、1系統では白色の花弁の縁だが薄く着色していた。さらにアサガオには、その表現型などからエピジェネティックな遺伝子の発現制御が係わると思われる「覆輪」、「吹雪」などの優性変異や、「刷毛目絞り」と呼ばれる劣性変異も存在する。このうち吹雪は、非自律性のTpn5の挿入を含むDFR遺伝子領域が複雑に変化した構造となっており、吹雪変異の花の色模様は、DFR-B遺伝子がエピジェネティクな発現制御を可逆的に受けた結果であろうと考えられる。また、相同組換えを利用したイネのWaxy遺伝子のターゲティングを行い、得られたトランスジェニックイネの改変Waxy遺伝子領域の構造を詳細に解析し、期待された通りの相同組換えが起こったことを明らかにした。
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[Publications] R.Terada: "Efficient gene targeting by homologous recombination in rice"Nature Biotechnology. 20. 1030-1034 (2002)
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[Publications] 石川直子: "アサガオ:園芸植物からモデル植物へ"遺伝(別冊、遺伝学はゲノム情報でどう変わるか). 15. 32-41 (2002)
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[Publications] 星野 敦: "アサガオ花弁の液胞pH上昇と青色化"細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ. 17. 85-87 (2002)
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[Publications] 星野 敦: "転写調節遺伝子と液胞内pHによる花色の制御"蛋白質・核酸・酵素(増刊号:植物の形づくり). 47. 1745-1752 (2002)
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[Publications] 飯田 滋: "特集にあたって"蛋白質・核酸・酵素. 47. 197-199 (2002)
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[Publications] 星野 敦: "花を彩る遺伝子"蛋白質・核酸・酵素. 47. 210-216 (2002)