1999 Fiscal Year Annual Research Report
CFTRクロライドチャネル蛋白の多機能性と細胞容積調節機構
Project/Area Number |
10217210
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岡田 泰伸 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10025661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 繁 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50290911)
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Keywords | CFTR / C1^-チャネル / ATP放出 / 細胞容積調節 |
Research Abstract |
CFTRは欧米で非常に多い常染色体劣性遺伝疾患である嚢胞性線維症の原因となる膜蛋白である。この膜蛋白は、構造上はABCトランスポータのファミリーに属しながら、機能的には細胞内のcAMP増加によって活性化されるC1^-チャネルの実体であることが明らかにされてきた。しかし、はじめの命名通り、他のチャネルに対するレギュレータとしての機能も併せ持つことも報告されている。さらにパッチクランプ法によりCFTR強制発現細胞においてATP電流ができたという報告もあり、ATPの通過路はCFTR自体であるという仮説が提唱された。更に最近、CFTRではなく容積感受性C1^-チャネルを通ってATPが放出されるという仮説も提出された。そこで本研究では、CFTRの多機能性に関して、ATP放出制御と細胞容積調節制御の2点から分子論理的に明らかにすることを目的とする。具体的には、1)ATP放出はCFTR C1^-チャネルを介して行われるか?、 2)ATP放出は容積感受性C1^-チャネルを介して行われるか?、 3)ATP放出の経路の分子実体は何か?、 4)CFTRがいかにしてATP放出を制御するのか?、 5)ATP放出とCFTR C1^-チャネルの活性化がいかにして細胞容積調節に関与するのか?、という5つの設問に答えて行く。 本年度は、設問1)についての実験的検討を行った。まず第1に、CFTR C1^-チャネルをサイクリックAMP刺激でで活性化させた時にはATP放出は起こらなかった。浸透圧性膨張時のATP放出は、CFTR発現細胞で著しく引きおこされることを昨年度明らかにしたが、CFTR C1^-チャネル阻害剤はATP放出を抑制しなかった。ATP放出を抑制するモノクローナル抗体はCFTR C1^-チャネルの活性を抑制しなかった。 昨年度は、CFTRの発現していない細胞系を用いて、上記の設問2)について答えた。しかし、その答えは、CFTRの発現した細胞系においても正しいかどうかは不明である。そこで本年度は、CFTR強制発現細胞を用いて、設問2)についての実験的検討をも行った。容積感受性C1^-チャネルの阻害剤は浸透圧性膨張時のATP放出を抑制しなかった。また、ATP放出阻害剤は容積感受性C1^-電流を抑制しなかった。ATP放出を抑制するモノクローナル抗体も容積感受性C1^-チャネル電流を抑制しなかった。以上の結果から、ATP放出はCFTR C1^-チャネルを介して行われるものではないことが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hazama, Okada ら: "Swelling-induced, CFTR-independent ATP release from a human epithelial cell line. Lack of correlation with volume-sensitive C1^- channels"Journal of General Physiology. 114. 525-533 (1999)
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[Publications] Sabirov, Okada ら: "Na^+sensitivity of ROMK1 K^+channel: Role of Na^+/H^+antiporter"Journal of Membrane Biology. 172. 67-76 (1999)
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[Publications] Hazama, Okada ら: "Swelling-activated cystic fibrosis transmembrane conductance regulator-augmented ATP release and C1^- conductance in C127 cells"Journal of Physiology. 523・1. 1-11 (2000)
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[Publications] Okada: "A scaffolding for regulation of volume-sensitive C1^- channels"Journal of Physiology. 520・1. 2 (1999)
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[Publications] Morishima, Okada ら: "Volume expansion sensitivity of swelling-activated C1^- channel in human epithelial cells"Japanese Journal of Physiology. (in press). (2000)
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[Publications] Dezaki, Okada ら: "Receptor-mediated facilitation of cell volume regulation by swelling-induced ATP release in human epithelial cells"Japanese Journal of Physiology. (in press). (2000)
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[Publications] Fan, Morishima, Okada ら: "Control and Disease of Sodium Department Transportation Proteins and Ion Channels"Elsevier (Y. Suketa, ed.) (in press). (2000)
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[Publications] Shimizu, Morishima, Okada ら: "同上"Elsevier (Y. Suketa, ed.) (in press). (2000)